サマチャレ 2017
ラドン検出の原理
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[[サマーチャレンジ 2017]] #contents *ラドン検出の原理 [#eb1cc4e2] ラドンというのは,天然に存在するガス状の放射性物質でアルファー線を放出します.私たちの身の回りにごく当たり前に存在しており,日常生活における私たちの放射線被曝量の約半分はラドンを吸入することに起因すると言われています.実習では,ラドンの高感度検出器を実際にハンダごてや工具を使って組み立てます.そして,空気や岩石からのラドンの量を計測します. **ウラン系列 [#gc4552e2] ラドン(元素記号Rn、原子番号Z=86、質量数A=222)を考えよう。半減期3.8日でアルファー崩壊してしまう。こんなに短い半減期の放射性物質が身の回りに存在するのはなぜだろうか。それは、ラドンの親であるラジウム-226(原子番号88、質量数226)がα崩壊において、1600年という長い半減期を持つからである。って、本当?じゃ、そのラジウムを作ったのは宇宙人?ってわけがない。アルファー崩壊をさかのぼっていくと、下の図に示すように、ウラニウム-238までたどり着くことが出来る。ウラニウム-238は45億年という半減期を持つので、ちょっとやそっとでは無くならないのである。太陽系が出来て46億年程度と言われているので、やっと半分まで減ったところである。(ウランのような元素がいつ出来たかって?それは長い話になるので短くするが、太陽系の出来る前に星があって、その星が燃え尽きたときに超新星爆発を起こし、その瞬間にウラニウムなどの重元素が作られたと考えられている。ビッグバンから始まった宇宙の歴史の中で元素がいつどのように作られたかを調べるのは宇宙元素合成と喚ばれる最新の研究テーマのひとつである。)ウラニウム-238などの半減期の長い放射性物質は、地球にはわんさと残っている。その証拠に先週那須温泉に浸かって来たけど、いい湯加減だった。そう!地熱の少なくとも半分はウラニウムなどの放射性物質の崩壊熱であることがニュートリノの量の測定からわかっている。まだまだ地球は地熱のおかげであったかだし、マントルの熱対流のおかげで地震も起こる。興味があったら教員やTAに話しかけてくれ。時間は十分あるはずだ。 さて、話を戻して、ラドン-222は半減期3.8日のアルファー崩壊によってポロニウム-218に変わってしまう。そして、ポロニウム-218は半減期3分のアルファー崩壊によって鉛-214に、鉛-214は半減期27分の2回のベータ崩壊によってポロニウム-214に、と言葉で書くのは面倒だ、下の図をよ〜く眺めてほしい。ウラニウム-238から始まって、安定な鉛-206に至るまでの壮大な歴史だ!今回の実験では温泉から拾って来た石から確かにラドン-222が放出していることを、身の回りにある石や土からもラドン-222が出て来ていることを超高感度の検出器で捉えるのが課題である。 CENTER:&ref(./U-decay-chain.png,40%); **放射線の電離作用 [#s47c9963] いわゆる放射線にアルファー線、ベータ線、ガンマ線があることは知っているだろう。(確か、既にキュリー夫人が名付けたんだぜ、何かは知らないうちに)アルファー線はヘリウムの原子核、ベータ線は電子もしくは陽電子、ガンマ線は電磁波だってことは高校の教科書にだってのっている。大事なことは、いずれも数MeV(ミリオンeV)という大きなエネルギーを持って飛び出してくるということだ。化学反応でやり取りされるエネルギーは数eVだから、そのmillion倍、100万倍のエネルギーを持っていることが重要!化学反応とは桁違いのエネルギーが原子核の世界でやり取りされていることの直接的証拠だ。 水素原子における電子の波動関数を解いたことがあるだろうか?そう、Bohr Atomと呼ばれる有名な問題だ。 下の図は+Zeの電荷をもつ原子核の回りに束縛された電子について解いたものだ。水素の場合はz=1だから、束縛エネルギーは主量子数n=1に対して13.6eVでその時の電子の波動関数の拡がりが0.53eVっていう有名な結果である。z=92の中性状態のウラニウムについて考えると、まわりに92個の電子が廻っているはずだ。そのなかでもっとも内側の軌道を回っている電子について考える。すると、下図の左に示すように電磁気学のガウスの法則を適用すると、最内殻電子の見る電荷は+92、一方、最外殻の電子軌道の少し内側でガウスの法則を適用すると、原子核の電荷+92、91個の電子が内側にあるので-91、即ち、球面の内部の電荷の総和は+1となり、水素原子の束縛状態と同じとなる。 CENTER:&ref(./bohr-atom.jpg,80%); CENTER:&ref(./uran-atom.jpg,80%); 何が言いたいかって?つまり、水素でもウランでも13.6eV~ 数keVでしか電子は束縛されていないってこと。これに比べて数MeVという巨大なエネルギーを持った放射線が原子にぶつかれば、電子の電荷とアルファー線の電荷間に働くクーロン相互作用によって、電子ははじき飛ばされてしまう。つまり、放射線のぶつかった原子は電離する。 (クーロン相互作用は遠距離まで働くので「原子にぶつかる」というのは余り正確な表現ではない。) 電離を引き起こしたアルファー線は、その分自身のエネルギーを失うので、徐々にエネルギーが低くなり、最後には停止してヘリウムガスになってしまう。停止するまでの飛ぶ距離(物質量に相当)を飛程と呼ぶが、数MeVのアルファー線は紙一枚で、ベータ線は1円玉、ガンマ線は(電荷をもたないので、ちょっと話はややこしいが、)鉛のブロックで止めることが出来る。数MeVのアルファー線は空気中を数cmも飛んだら、その運動エネルギーは電離によって失われ、止まってしまう。 CENTER:&ref(./material.jpg,50%); 生体に放射線が入るとどうなるか?これが「放射線被ばく」の問題である。生体も物質なので、生体内部で電離現象が起こることになる。生体のほとんどは水なので、水が電離して、H+とOH-が細胞の中で発生する。H+もOH-も化学的活性が高く、細胞壁をやっつけるくらいならば、その細胞が壊れるくらいで済むが、細胞核のなかで発生して、DNAの鎖に作用すると話が面倒だ。鎖1カ所くらいならば、もともと備わっている修復機能で直せるらしいが、H+やOH-の発生密度が高く、鎖を何カ所も壊してしまうと、元に戻らない。DNAは細胞分裂を司るので、これが壊れると細胞分裂がおかしくなる。生体でもっとも放射線への感受性の高いのは細胞分裂の盛んな器官、骨髄とか腸壁とかである。骨髄が放射線被ばくによって全部やられると血球が作られなくなり、骨髄移植などの手当をしないで放っておくと、約1ヶ月で血球が全部無くなって死んでしまう。これが、放射線被ばくの致死量に相当する。広島長崎では多くの人々が被ばく後1ヶ月で亡くなったそうである。 放射線を検出するには、電離作用を用いる。例えば、ガスのなかをアルファー線が通過すると、ガス分子が電離され、電子と陽イオンが発生する。ガスを高電圧をかけた電極中にいれておけば、電場によって電子と陽イオンがそれぞれ陽極、陰極に引き寄せられ、電極間の電気信号として捕まえることが出来る。これが最も基本的な検出方法である。ガスを電離するには、どのくらいのエネルギーをひつようとするだろうか。Bohr Atomの計算からわかるように、水素ガスならば13.6eVである。2段階の電離反応なども考慮すると空気などでは20-30eV程度である。 半導体に放射線が入射すると同様な電離現象が起きる。半導体の場合、電離によって発生する最小の単位は電子・正孔対である。半導体の種類によってもちがうが、原子の電子・陽イオン対の電離に比べ、必要なエネルギーがうんと小さい。つまり、同じアルファー線でも沢山の電子・正孔対が発生する。つまり大きな信号が得られる。次の左図に示すように、今回の実験では逆バイアスをかけたフォトダイオード中にアルファー線を入射させて、半導体中に発生する電子・正孔対を逆バイアスで与えられた電場によって集め、電気信号として取り出すのである。例えば、シリコン中での電子・正孔対生成に要するエネルギーは約4eVなので、4MeVのアルファー線がダイオードに入射すると100万個の電子・正孔対が出来ることになる。これを逆バイアスで電気信号としてとりだせばよい。これは比較的大きな電気信号である。また、電気信号の大きさはアルファー線がダイオード中に落としたエネルギーに比例するので、電気信号の大きさを測定すれば、アルファー線のエネルギーを測ることに相当する。アルファー線に限らず、放射線のエネルギーと半減期を調べると放射性物質を識別することが出来る。ラドンを識別測定するために、アルファー線のエネルギーと半減期を測定することが重要だ。下の右図は実験で用いるフォトダイオードである。浜松ホトニクスという会社の製品である。1cm角のフォトダイオードで1万円もする! CENTER:&ref(./photo-diode.jpg,50%); CENTER:&ref(./diode.jpg,50%); ところで、アルファー線は1気圧の空気中では数cmも飛べば、電離作用によってエネルギーを失って止まってしまうと上述したが、空気中に含まれるラドンから放出されるアルファー線は、ダイオードに到達するまでに止まってしまうのではないか。 ダイオード周辺数cmの至近距離でラドンが崩壊した時には、ダイオードまでアルファー線は届くかもしれないが、届くまでの距離に反比例してダイオードに得られる信号量が変わってしまうのも不都合だ。 じゃあ、真空にすればいいかなと思ったら、ラドンは空気に混じっているのである。ラドンだけ残して真空にするなんて器用なことは真空ポンプでは出来ない。そこで、一工夫が必要だ。静電収集である。 **チェンバーと静電吸着 [#h365e6b7] ラドン222が崩壊するとアルファー線を放出し、ポロニウム218に変わる。ポロニウム218は陽イオンとなる(なんで陽イオンとなるのかはクイズである。みんなで議論してほしい。アルファー線が飛び出した残りは陰イオンになると思うが、どうだろうか。みんなで議論してほしい)ダイオードの表面に負の高電圧をかけておくと、ポロニウム218はダイオードの表面にぺたっと引っ付き、3分の半減期でアルファー線を放出する。約2分の1の確率でアルファー線はダイオードの中に入射し、アルファー線の運動エネルギー分のエネルギーを電子・正孔対生成に費やしてくれる。ラドンの娘核からのアルファー線を識別測定できれば、親のラドンを見つけたのも同然である。ラドンの孫の孫みたいな核のアルファー線を測定できるだろう。そうすれば、結局ウラン238から延々とつながる崩壊系列を見つけたことになるのである。その時に大事なことは繰り返しになるが、アルファー線のエネルギーと半減期を決めることが出来るかどうかにかかっている。 以上、測定の原理を説明してきました。チェンバー内の空気を抜き、それからバルブを操作してラドンを含んだ空気をチェンバーの中に導入します。 フォトダイオードに高電圧と逆バイアスをかけ、信号の大きさ(つまりアルファー線のエネルギー)を測定します。チェンバー中のラドンが崩壊するにつれて、 信号が減ってくるはずです。その様子から半減期を決めます。求めたアルファー線のエネルギーと半減期が誤差の範囲で一致すれば検出に成功というわけです。 CENTER:&ref(./electrostatic_capture.png,45%);
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[[サマーチャレンジ 2017]] #contents *ラドン検出の原理 [#eb1cc4e2] ラドンというのは,天然に存在するガス状の放射性物質でアルファー線を放出します.私たちの身の回りにごく当たり前に存在しており,日常生活における私たちの放射線被曝量の約半分はラドンを吸入することに起因すると言われています.実習では,ラドンの高感度検出器を実際にハンダごてや工具を使って組み立てます.そして,空気や岩石からのラドンの量を計測します. **ウラン系列 [#gc4552e2] ラドン(元素記号Rn、原子番号Z=86、質量数A=222)を考えよう。半減期3.8日でアルファー崩壊してしまう。こんなに短い半減期の放射性物質が身の回りに存在するのはなぜだろうか。それは、ラドンの親であるラジウム-226(原子番号88、質量数226)がα崩壊において、1600年という長い半減期を持つからである。って、本当?じゃ、そのラジウムを作ったのは宇宙人?ってわけがない。アルファー崩壊をさかのぼっていくと、下の図に示すように、ウラニウム-238までたどり着くことが出来る。ウラニウム-238は45億年という半減期を持つので、ちょっとやそっとでは無くならないのである。太陽系が出来て46億年程度と言われているので、やっと半分まで減ったところである。(ウランのような元素がいつ出来たかって?それは長い話になるので短くするが、太陽系の出来る前に星があって、その星が燃え尽きたときに超新星爆発を起こし、その瞬間にウラニウムなどの重元素が作られたと考えられている。ビッグバンから始まった宇宙の歴史の中で元素がいつどのように作られたかを調べるのは宇宙元素合成と喚ばれる最新の研究テーマのひとつである。)ウラニウム-238などの半減期の長い放射性物質は、地球にはわんさと残っている。その証拠に先週那須温泉に浸かって来たけど、いい湯加減だった。そう!地熱の少なくとも半分はウラニウムなどの放射性物質の崩壊熱であることがニュートリノの量の測定からわかっている。まだまだ地球は地熱のおかげであったかだし、マントルの熱対流のおかげで地震も起こる。興味があったら教員やTAに話しかけてくれ。時間は十分あるはずだ。 さて、話を戻して、ラドン-222は半減期3.8日のアルファー崩壊によってポロニウム-218に変わってしまう。そして、ポロニウム-218は半減期3分のアルファー崩壊によって鉛-214に、鉛-214は半減期27分の2回のベータ崩壊によってポロニウム-214に、と言葉で書くのは面倒だ、下の図をよ〜く眺めてほしい。ウラニウム-238から始まって、安定な鉛-206に至るまでの壮大な歴史だ!今回の実験では温泉から拾って来た石から確かにラドン-222が放出していることを、身の回りにある石や土からもラドン-222が出て来ていることを超高感度の検出器で捉えるのが課題である。 CENTER:&ref(./U-decay-chain.png,40%); **放射線の電離作用 [#s47c9963] いわゆる放射線にアルファー線、ベータ線、ガンマ線があることは知っているだろう。(確か、既にキュリー夫人が名付けたんだぜ、何かは知らないうちに)アルファー線はヘリウムの原子核、ベータ線は電子もしくは陽電子、ガンマ線は電磁波だってことは高校の教科書にだってのっている。大事なことは、いずれも数MeV(ミリオンeV)という大きなエネルギーを持って飛び出してくるということだ。化学反応でやり取りされるエネルギーは数eVだから、そのmillion倍、100万倍のエネルギーを持っていることが重要!化学反応とは桁違いのエネルギーが原子核の世界でやり取りされていることの直接的証拠だ。 水素原子における電子の波動関数を解いたことがあるだろうか?そう、Bohr Atomと呼ばれる有名な問題だ。 下の図は+Zeの電荷をもつ原子核の回りに束縛された電子について解いたものだ。水素の場合はz=1だから、束縛エネルギーは主量子数n=1に対して13.6eVでその時の電子の波動関数の拡がりが0.53eVっていう有名な結果である。z=92の中性状態のウラニウムについて考えると、まわりに92個の電子が廻っているはずだ。そのなかでもっとも内側の軌道を回っている電子について考える。すると、下図の左に示すように電磁気学のガウスの法則を適用すると、最内殻電子の見る電荷は+92、一方、最外殻の電子軌道の少し内側でガウスの法則を適用すると、原子核の電荷+92、91個の電子が内側にあるので-91、即ち、球面の内部の電荷の総和は+1となり、水素原子の束縛状態と同じとなる。 CENTER:&ref(./bohr-atom.jpg,80%); CENTER:&ref(./uran-atom.jpg,80%); 何が言いたいかって?つまり、水素でもウランでも13.6eV~ 数keVでしか電子は束縛されていないってこと。これに比べて数MeVという巨大なエネルギーを持った放射線が原子にぶつかれば、電子の電荷とアルファー線の電荷間に働くクーロン相互作用によって、電子ははじき飛ばされてしまう。つまり、放射線のぶつかった原子は電離する。 (クーロン相互作用は遠距離まで働くので「原子にぶつかる」というのは余り正確な表現ではない。) 電離を引き起こしたアルファー線は、その分自身のエネルギーを失うので、徐々にエネルギーが低くなり、最後には停止してヘリウムガスになってしまう。停止するまでの飛ぶ距離(物質量に相当)を飛程と呼ぶが、数MeVのアルファー線は紙一枚で、ベータ線は1円玉、ガンマ線は(電荷をもたないので、ちょっと話はややこしいが、)鉛のブロックで止めることが出来る。数MeVのアルファー線は空気中を数cmも飛んだら、その運動エネルギーは電離によって失われ、止まってしまう。 CENTER:&ref(./material.jpg,50%); 生体に放射線が入るとどうなるか?これが「放射線被ばく」の問題である。生体も物質なので、生体内部で電離現象が起こることになる。生体のほとんどは水なので、水が電離して、H+とOH-が細胞の中で発生する。H+もOH-も化学的活性が高く、細胞壁をやっつけるくらいならば、その細胞が壊れるくらいで済むが、細胞核のなかで発生して、DNAの鎖に作用すると話が面倒だ。鎖1カ所くらいならば、もともと備わっている修復機能で直せるらしいが、H+やOH-の発生密度が高く、鎖を何カ所も壊してしまうと、元に戻らない。DNAは細胞分裂を司るので、これが壊れると細胞分裂がおかしくなる。生体でもっとも放射線への感受性の高いのは細胞分裂の盛んな器官、骨髄とか腸壁とかである。骨髄が放射線被ばくによって全部やられると血球が作られなくなり、骨髄移植などの手当をしないで放っておくと、約1ヶ月で血球が全部無くなって死んでしまう。これが、放射線被ばくの致死量に相当する。広島長崎では多くの人々が被ばく後1ヶ月で亡くなったそうである。 放射線を検出するには、電離作用を用いる。例えば、ガスのなかをアルファー線が通過すると、ガス分子が電離され、電子と陽イオンが発生する。ガスを高電圧をかけた電極中にいれておけば、電場によって電子と陽イオンがそれぞれ陽極、陰極に引き寄せられ、電極間の電気信号として捕まえることが出来る。これが最も基本的な検出方法である。ガスを電離するには、どのくらいのエネルギーをひつようとするだろうか。Bohr Atomの計算からわかるように、水素ガスならば13.6eVである。2段階の電離反応なども考慮すると空気などでは20-30eV程度である。 半導体に放射線が入射すると同様な電離現象が起きる。半導体の場合、電離によって発生する最小の単位は電子・正孔対である。半導体の種類によってもちがうが、原子の電子・陽イオン対の電離に比べ、必要なエネルギーがうんと小さい。つまり、同じアルファー線でも沢山の電子・正孔対が発生する。つまり大きな信号が得られる。次の左図に示すように、今回の実験では逆バイアスをかけたフォトダイオード中にアルファー線を入射させて、半導体中に発生する電子・正孔対を逆バイアスで与えられた電場によって集め、電気信号として取り出すのである。例えば、シリコン中での電子・正孔対生成に要するエネルギーは約4eVなので、4MeVのアルファー線がダイオードに入射すると100万個の電子・正孔対が出来ることになる。これを逆バイアスで電気信号としてとりだせばよい。これは比較的大きな電気信号である。また、電気信号の大きさはアルファー線がダイオード中に落としたエネルギーに比例するので、電気信号の大きさを測定すれば、アルファー線のエネルギーを測ることに相当する。アルファー線に限らず、放射線のエネルギーと半減期を調べると放射性物質を識別することが出来る。ラドンを識別測定するために、アルファー線のエネルギーと半減期を測定することが重要だ。下の右図は実験で用いるフォトダイオードである。浜松ホトニクスという会社の製品である。1cm角のフォトダイオードで1万円もする! CENTER:&ref(./photo-diode.jpg,50%); CENTER:&ref(./diode.jpg,50%); ところで、アルファー線は1気圧の空気中では数cmも飛べば、電離作用によってエネルギーを失って止まってしまうと上述したが、空気中に含まれるラドンから放出されるアルファー線は、ダイオードに到達するまでに止まってしまうのではないか。 ダイオード周辺数cmの至近距離でラドンが崩壊した時には、ダイオードまでアルファー線は届くかもしれないが、届くまでの距離に反比例してダイオードに得られる信号量が変わってしまうのも不都合だ。 じゃあ、真空にすればいいかなと思ったら、ラドンは空気に混じっているのである。ラドンだけ残して真空にするなんて器用なことは真空ポンプでは出来ない。そこで、一工夫が必要だ。静電収集である。 **チェンバーと静電吸着 [#h365e6b7] ラドン222が崩壊するとアルファー線を放出し、ポロニウム218に変わる。ポロニウム218は陽イオンとなる(なんで陽イオンとなるのかはクイズである。みんなで議論してほしい。アルファー線が飛び出した残りは陰イオンになると思うが、どうだろうか。みんなで議論してほしい)ダイオードの表面に負の高電圧をかけておくと、ポロニウム218はダイオードの表面にぺたっと引っ付き、3分の半減期でアルファー線を放出する。約2分の1の確率でアルファー線はダイオードの中に入射し、アルファー線の運動エネルギー分のエネルギーを電子・正孔対生成に費やしてくれる。ラドンの娘核からのアルファー線を識別測定できれば、親のラドンを見つけたのも同然である。ラドンの孫の孫みたいな核のアルファー線を測定できるだろう。そうすれば、結局ウラン238から延々とつながる崩壊系列を見つけたことになるのである。その時に大事なことは繰り返しになるが、アルファー線のエネルギーと半減期を決めることが出来るかどうかにかかっている。 以上、測定の原理を説明してきました。チェンバー内の空気を抜き、それからバルブを操作してラドンを含んだ空気をチェンバーの中に導入します。 フォトダイオードに高電圧と逆バイアスをかけ、信号の大きさ(つまりアルファー線のエネルギー)を測定します。チェンバー中のラドンが崩壊するにつれて、 信号が減ってくるはずです。その様子から半減期を決めます。求めたアルファー線のエネルギーと半減期が誤差の範囲で一致すれば検出に成功というわけです。 CENTER:&ref(./electrostatic_capture.png,45%);
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