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カスケード放電模型計算のまとめ

ペストフ・スパークカウンターの時間特性を再現するために、ギャップ中の統計に着目してカスケード放電模型を作成し、2通りの方法で計算を行なった。その結果、以下のような解釈を得た。

  1. 電子なだれ発展過程
  2. 初期電子の位置、数
  3. 紫外光発生の影響

カスケード放電模型計算を用いてギャップ長やガス圧等で最適化を図ったが、 現在知られているパラメーター以外に明らかに良いと思われる解は見つからなかった。

高圧ガスを利用しているとは言っても初期電子数は数個程度と統計の影響を 逃れられず、 短ギャップを用いるペストフ・スパークカウンターは増幅率が大きく使い易いと いう利点は、ストリーマー達成前の領域では信号の大きさの大きな揺らぎを伴う。 この問題を避けるためにはストリーマー達成前の領域に比べ十分なギャップ長を 作る(高圧化・高電圧化に相当)必要があるが、電子なだれの速度が有限である ためにギャップ長を拡げることは時間分解能の低下を意味する。また、紫外光に よる飛び火は確実に時間分布における2重構造の原因の一つである。ギャップ長 を狭めると、吸収が行われない領域の割合が増えるために第2成分が増加する。 従って、短ギャップで紫外光の効率の良い吸収が必要である。



平成13年5月2日