方位角異方性
筑波大・物理 三明康郎

方位角異方性とは
非中心衝突において粒子の方位角分布に偏りが起こる現象
フーリエ級数で定量化。

中心衝突のハドロン横運動量分布における集団運動
陽子・陽子〜陽子・原子核衝突;
mtスケーリング則
粒子種に依らず一定
重イオン衝突(AGS・SPS共に);
粒子質量に比例したスロープパラメーター

量子力学的干渉効果における集団運動
観測結果の特徴;
SPS;5〜6fm(Pb+Pb)
明らかな横運動量依存性が観測された
熱的生成源膨張模型により説明可
共通の膨張速度(Flow)により小さく観測される

熱的膨張模型による統合的理解
1粒子包括測定とHBT測定の特徴が熱的生成源膨張模型で説明!
1組の(β,T)により理解される
より精度良く決めることが出来る
温度、集団運動強度の逆転(!?)
AGS   95 MeV  0.77c
SPS 120 MeV  0.55c
エネルギー依存性

酔歩模型の不成功
多重散乱時の衝突軸の酔歩的回転による平均横運動量の増加
Known as Cronin Effect in pA
中心衝突度依存性の不一致
HBT効果の不一致

「集団運動」の本質
観測された「集団運動」の本質;
各ハドロンのフリーズアウト時の座標空間と運動量空間に強い相関
Esumi; PRC55(97)R2163;PLB403(97)145;PRC60(99)031901
座標・運動量空間の強い相関は何によってもたらされたのか。
流体力学的取り扱い!?
動機; 流体力学的解釈の有効性が確立されると状態方程式に関する情報が得られる!
QGP相転移に伴う状態方程式の軟化

集団運動観測とQGP生成
もし方位角異方性が流体力学的効果による集団運動であれば、集団運動は圧力勾配によって決まり、流体の状態方程式によって支配される。
QGP相転移において自由度の増加によって、”Softening”が起こる。

様々な名称
衝突対称性による方位角異方性の性質
中心衝突(b=0)では衝突軸対称性から方位角異方性は現れない!
鉛・鉛原子核衝突のように同じ原子核種の衝突では重心に対して回転対称であるので、重心ラピディティに対して対称
Directed Emission;
 v1 = 0 @ ycm = 0

反応関与部形状の方位角異方性
非中心衝突の反応関与部の形状は方位角異方性
平均自由行程が十分長い場合;
方位角一様分布
平均自由行程が十分短い場合;
圧力勾配は短軸方向が大きい
Elliptic Emission

座標空間異方性から運動量空間異方性へ
反応初期;
座標空間”Almond Shape”
反応後期;
運動量空間異方性

方位角異方性の解析方法
Reaction planeを決定する必要がない。
効果はvと小さいが、全粒子のペアについて相関を取るので高統計。
Acceptance補正はevent mixing法で可能である。
Event by event にReaction Plane の決定が必要。
識別された粒子の解析が容易である。
Acceptanceの補正はflattening methodを用いて可能である。

PHENIX実験での解析
全方位角2πのうち半分しかカバーしていない
反応面の決定が可能か?

反応面の決定とFlattening(1)
反応面の決定とFlattening(2)
Fourier Expansionの公式
分解能の計算公式
事象分割の様々な方法
φ-slice : φ方向に50binに分割(Gap=0.2°)
η-slice : η方向に20binに分割(Gap=0.01)
Random : ランダムに2グループに分割
Charge :粒子の電荷によって分割
φ-slice without pt weight : φと同様であるが pt のweightをかけない。

観測された方位角相関の例
方位角相関強度
Resolution(<cos>) はsemi-central領域で最もよい。
ΨA・ΨB、は共に母関数が同じであるので、(ΨA-ΨB)は偶関数であるため<sin>は、0になるべき。

結果の安定性
分解能の補正後、5種の事象分割法から互いに良く一致した結果が得られた。
分解能が悪い測定でも、分解能の良い測定でも、分解能で補正した相関強度は同じ!

横運動量依存性
他の解析方法とも他の実験とも結果が誤差の範囲で一致。

粒子多重度(中心衝突度)依存性
他の実験とも結果が誤差の範囲で一致。
解析方法の妥当性、反応面決定の妥当性が検証された

粒子識別された解析
飛行時間測定器による粒子識別
0.2<pp<2.0 GeV/c
0.2<pk<2.0 GeV/c
0.2<pp<4.0 GeV/c
粒子種により依存性
質量に比例?
2001年データでは100倍の統計

ビームエネルギー依存性
ビームエネルギーとともに順調に(!?)増加
強いFlow Effect?

Elliptic EmissionとJet Quench効果
流体力学的効果であれば、横運動量に比例
Hard Scattering の領域で流体は考えにくい
>2.5 GeV/c で振舞の変化
Hard Scattering したpartonがAlmond Shapeにおけるエネルギー損失の方位角異方性のためか?