| 物理学実験3(高エネルギー原子核実験) |
| http://utkhii.px.tsukuba.ac.jp | |
| 物理学系・三明康郎 |
| 1)大型加速器を用いた実験とは |
| 世界の大型加速器 |
| 世界の主な衝突型加速器 | ||
| 研究目的により、ビームの種類やエネルギーが異なる | ||
| 探索実験を行う加速器は世界に何カ所もいらない。 | ||
| 同様な実験形態 | ||
| 多国間国際協力 | ||
| 1国で負担するのは困難 | ||
| 加速器;数百億円〜数兆円 | ||
| 測定器;約10% | ||
| 多国籍・他研究機関の研究者の国際協力・共同 | ||
| 大型加速器実験の典型的経過と特徴 |
| 提案〜建設〜測定のサイクルが長期間(5年〜20年)にわたる | ||
| 長期間の測定と検出器・加速器増強の繰り返し | ||
| 信号が増強とともに蓄積されていく | ||
| それぞれのプロジェクトのタイムラインと各自の生活プランがどう接していくか | ||
| 2)クォーク・グルオンプラズマ(QGP)探索実験 |
| 物質の階層構造とクォーク・グルオンプラズマ |
| 原子核 | ||
| 陽子と中性子の集まり | ||
| 核子(陽子と中性子)間力;π中間子交換 | ||
| 4000種類 | ||
| 核子 | ||
| クォーク3個からなる複合粒子 | ||
| クォーク間力;グルオン交換 | ||
| 量子色力学(QCD) | ||
| 中間子 | ||
| クォーク・反クォークからなる複合粒子 | ||
| クォークの種類により多くの組み合わせ | ||
| QCDの特徴 | ||
| クォークの「閉じ込め」 | ||
| 漸近的自由度 | ||
| クォーク・グルオンプラズマ(QGP)とは |
| ハドロンの構造; | ||||
| ハドロン(陽子、中性子や中間子)は、1fm程度の大きさを持ちクォークと媒介粒子グルオンから構成されている。 | ||||
| 3つのクォークかクォーク・反クォーク対 | ||||
| 量子色力学(QCD)の世界 | ||||
| クォークの閉じ込め | ||||
| 漸近的自由度 | ||||
| バッグ模型によるハドロンの構造の理解 | ||||
| 大きさを持つハドロンを狭い空間に多重発生させると(高温・高密度状態)、ハドロンが連結状態した状態が起こる? | ||||
| クォーク・グルオンが比較的大きな体積中を自由に飛び回る状態が実現する。 | ||||
| クォーク・グルオンプラズマ状態 | ||||
| Big BangとLittle Bang |
| ビッグバン宇宙論 | ||
| 3次元的膨張 | ||
| ビッグバンから10マイクロ秒後にQGP相からハドロン相への相転移 | ||
| 1次の相転移であれば以降の宇宙の進化に影響か | ||
| “リトルバン” | ||
| “再現”実験 | ||
| 高エネルギー原子核・原子核衝突 | ||
| 1次元的膨張 | ||
| CERN(欧州共同原子核研究機構)と米国ブルックヘブン国立研究所 | ||
| QGP探索実験の中心施設 |
| 欧米 |
| 3)衝突型加速器 (RHICを例にして) |
| Relativistic Heavy Ion Collider (RHIC) |
| 1周約3.8km | |
| 右回り用と左回り用それぞれのビームライン | |
| 計864個の電磁石 | |
| 実験室中央で右回りと左回りのビームが衝突 |
| 複合加速器RHIC |
| RHIC | |
| = タンデム型Van de Graaf 加速器 | |
| × ブースターシンクロトロン | |
| × AGSシンクロトロン | |
| × 衝突型加速器 |
| RHIC(加速と衝突の様子) |
| 6つの衝突地点 |
| 衝突のLuminosity |
| 衝突型加速器の性能を与える量;L | ||
| 多くの衝突頻度を得るためには、 | ||
| 多数のビーム粒子 | ||
| 細く絞られたビーム;〜mm | ||
| 2本のビームの位置の制御 | ||
| タイミング制御 | ||
| → 高度な加速器技術が必要 | ||
| データ量の増加の様子 |
| RHIC加速器の例 | ||
| 建設直後からのビーム衝突回数の増加の様子 | ||
| なかなか衝突が起こらない | ||
| 調整経験を積み上げていくとともに増加していく | ||
| 4)高エネルギー原子核・ 原子核衝突の様子 |
| 衝突のMovie(Simulation) |
| (高エネルギー)×(原子核・原子核)→ | ||
| 数多くの粒子が発生(数千個) | ||
| 高エネルギー重イオン衝突の様子 |
| 衝突の極めて短時間の間に何が起こっているのか! | ||
| 10 - 20 fm/cの間に多数の衝突 | ||
| 運動学的熱平衡・化学平衡が起こっているらしい | ||
| クォーク・グルオンプラズマの生成も? | ||
| Minkowski空間における粒子発生の様子 |
| 固有時間 | |||
| 粒子生成時間の違い | |||
| 遅い粒子は早く | |||
| 速い粒子は遅く | |||
| 高エネルギー重イオン衝突の様子 |
| 衝突の極めて短時間の間に何が起こっているのか! | ||
| 10 - 20 fm/cの間に多数の衝突 | ||
| 運動学的熱平衡・化学平衡が起こっているらしい | ||
| クォーク・グルオンプラズマの生成も? | ||
| 高粒子密度 |
| 測定技術上のチャレンジ | |||
| 検出器における粒子密度が高い | |||
| 2粒子識別分解能 | |||
| 多くの情報量 | |||
| 読みだし回路の性能 | |||
| 計算機能力 | |||
| 5)衝突型加速器を用いた実験 (PHENIX実験を例に) |
| PHENIX実験 |
| PHENIX実験 |
| 磁場を中心に多くの検出器 |
| PHENIX実験;2種類の磁石 |
| PHENIX実験;多くの検出器 |
| 飛跡検出器 | |
| 粒子識別装置 |
| PHENIX実験(写真1) |
| PHENIX実験(写真2) |
| 国際共同実験PHENIX |
| 6)測定技術 |
| 飛跡検出器 |
| 荷電粒子がチェンバーガスを電離 | ||
| アノード細線周辺の高電場によりガス増幅 | ||
| アノード細線の位置や誘導電荷により飛跡位置を測定 | ||
| 典型的位置分解能 | ||
| Multiwire Proportional Chamber (MWPC);〜mm | ||
| Drift Chamber;〜0.2 mm | ||
| Time Projection Chamber;mm | ||
| Time Projection Chamber |
| 運動量解析とその精度 |
| PHENIX実験の磁場の様子 |
| 磁場中による飛跡の曲がり方から運動量を決定する。 |
| ハドロンの粒子識別;電離エネルギー損失 |
| ハドロンの粒子識別;飛行時間測定法 |
| ハドロンの粒子識別;チェレンコフ放射 |
| 閾値型チェレンコフ検出器 | ||
| リングイメージ型 | ||
| Lepton Pair Spectrometer |
| 短寿命で崩壊するハドロン; | ||
| Φ中間子;50fm/c | ||
| 検出器まで崩壊前に届かない | ||
| 崩壊生成粒子の検出が必要 | ||
| 例; | ||
| Φ→K+K− | ||
| Φ→e+e− | ||
| RHIC実験と計算機 |
| 高多重度事象 | |||
| 巨大なデータ量 | |||
| 4ヶ月間 x 12MB/s=140TB | |||
| 粒子の飛跡解析に多くの計算が必要 | |||
| 1200個のCPUの並列化 | |||
| 7)今までの主な発見 |
| 方位角異方性とは |
| 非中心衝突の反応関与部は方位角異方性 | ||
| 平均自由行程が十分長い場合; | ||
| 一様な方位角分布 | ||
| 平均自由行程が十分短い場合; | ||
| 圧力勾配は短軸方向が大きい | ||
| 短軸方向に多くの粒子 | ||
| 座標空間の方位角異方性が生成粒子の運動量空間異方性に転換 | ||
| QGPを示唆する結果;2)大きな方位角異方性 |
| SPSに比べて、おおきな方位角異方性が観測された。 | |||
| SPS; 約4% | |||
| RHIC;約6% | |||
| より速やかな熱化 | |||
| より短い平均自由行程 | |||
| 流体力学的効果 | |||
| 衝突後0.6fm/cで熱化成立を仮定すると良く再現。 | |||
| Hard Scattering の領域で流体は考えにくい | |||
| >2.5 GeV/c で振舞の変化 | |||
| いかなる反応が衝突後、0.6 fm/cで熱化出来るのか? | |||
| QGP! | |||
| 高横運動量抑制効果の発見 |
| 荷電粒子、中性パイ中間子共に高横運動量で抑制 | ||
| 周辺衝突(60-80%); | ||
| Nbinaryで規格化したpp衝突の結果と良い一致 | ||
| 中心衝突(<10%); | ||
| Nbinaryで規格化したpp衝突より全般的に小さい | ||
| 特に>3GeV/c | ||
| 陽子・陽子衝突に比べて高横運動量領域で粒子生成が少ない! | ||
| 今まで全く見られなかった現象! | ||
| 高運動量領域の粒子生成とは |
| 高横運動量領域では指数関数からずれた成分が現れる | |||
| 陽子・陽子衝突ではπー より多くのπ+ | |||
| Valence Quark散乱のLeading Particle | |||
| 高エネルギーの衝突ではより顕著に | |||
| Phase Space の制限が効かなくなる | |||
| 2成分; | |||
| 第1項;Exponential;Soft Component | |||
| 第2項; Power Law ; Hard Component | |||
| Perturbative QCD | |||
| ジェット・クエンチとは |
| 高速荷電粒子が物質中を通過する際に、原子電子とのクーロン相互作用によってエネルギー損失 | ||
| Bethe-Bloch Formula | ||
| 物質の電子数密度に比例したエネルギー損失 | ||
| パートンがQGPなど高密度物質中を通過する際に、グルオン放射によりエネルギー損失 | ||
| グルオンの数密度に比例した損失 | ||
| QGPを示唆する結果;4)ジェット・クエンチ |
| 金・金衝突では高横運動量領域で抑制 | ||
| 重陽子・金原子核衝突では抑制効果が見られなかった | ||
| 金・金衝突で出来た高密度物質をパートンが通過する際のエネルギー損失によるもの | ||
| QGPを示唆する結果;4’)正反相関の消失 |
| 金・金衝突では正反対方向に期待されるジェットが消失した。 |
| まとめ(所長挨拶) |