講師 |
京都大学基礎物理学研究所・教授・松井哲男氏 |
科目番号 |
01D5906 |
単位数 |
1単位 |
科目名 |
物理学特別講義、 |
実施予定 |
平成11年2月3日(水)〜4日(木) |
実施教室 |
未定 |
講義題目;高エネルギー重イオン衝突の物理
講義要旨;
素粒子の標準模型によれば、宇宙開びゃく時にあったような超高温・超高密度の極限状態下では、原子核を構成する核子やその高エネルギー反応によって作られる様々なハドロンはそれぞれの個性を失い、ハドロン物質は基本構成子であるクオークやグルオンのプラズマ状態になると考えられる。 現在、米国のBrookhaven 国立研究所やスイスのCERNでは、このような極限状態のハドロン(クォーク)物質をつくりその性質や進化の過程を調べるために、超相対論的エネルギー領域での原子核衝突の実験がおしすすめられている。この集中講義では、熱平衡状態でのクオーク・ハドロン相転移の理論と、超高エネルギー重イオン衝突における様々な非平衡過程の記述、実験的シグナルの問題についての入門的な解説を行なう。
世話人による講師の紹介;
松井氏はクオーク・グルオンプラズマ(QGP)状態の実験的証拠としてJ/ψ抑制効果を初めて提案され、高エネルギー重イオン衝突の物理を代表する理論家である。CERNの鉛・鉛衝突実験でJ/ψ抑制効果の異常が観測され、QGP生成の証拠ではないかと考えられている。基礎的な話から最新の話題まで伺える予定である。
世話人;物理学系・三明康郎