本冊子は、文部省科学研究費補助金(特別推進研究(2)、平成6〜9年度)による「ハドロンの系統的測定によるクォーク・グルオンプラズマのための基礎的研究」の研究報告書である。
ビッグバン直後の宇宙は極めて高温・高密度状態にあったため、クォークとグルオンが自由に動き回れる状態、即ちクォーク・グルオン プラズマ(QGP)状態が存在したと考えられている。物質の存在の在り方として全く未知なるQGPの研究をすることは、原子核や素粒子、初期宇宙、さらには自然認識に関わる基本的課題である。高エネルギー原子核・原子核衝突を用いてこの新物質QGPを実験室で再現しようという試みが、米国ブルックヘブン国立研究所(BNL)や欧州共同原子核研究機構(CERN)で進められている。本研究はハドロン生成の系統的測定によってQGP生成の証拠としようという戦略のもとに、
(1)米国ブルックヘブン国立研究所(BNL)における核子あたり10GeVの実験、
(2)欧州共同原子核研究機構(CERN)における核子あたり160GeVの実験、
(3)BNLにおける核子あたり100GeVの衝突型加速器における実験、
という一連の実験を進めてきた。複雑な衝突反応を理解するために、反応生成粒子の系統的測定による基礎的データの積み上げを行うことによってQGP生成の発見ならびにその性質の研究を目指したものである。
本報告書には、(2)の欧州共同原子核研究機構(CERN)で行った核子あたり160GeVの鉛・鉛衝突実験(実験番号;WA98)の研究成果を中心に、これまでに実験的に明らかになってきた事柄をまとめ、この間に出版された(または出版予定の)論文を収録した。初田氏を中心に行われた理論研究の成果についても収録した。
本研究計画は当初計画においても平成10年度まで組み込んだ計画であり、データ解析の多くが平成10年度に実施された。このため論文発表の多くが平成10年度になされ、研究成果報告書の作成が平成11年3月となった。HBTの反応面依存性など国際会議等では報告したが、論文未発表の興味あるデータも残っており、今後の発表論文にも注目をいただきたい。多くの研究者に利用していただければ幸いである。
平成11年3月 研究代表者 三明康郎
種目;科学研究費補助金特別推進(2)
研究課題名;ハドロンの系統的測定によるクォークグルオンプラズマのための基礎的研究
課題番号;06102004
研究期間;平成6年度〜9年度
研究組織;
研究代表者;三明康郎 (筑波大学・物理学系・教授 平成8年4月より現職)
研究分担者;八木浩輔 (筑波大学・物理学系・教授)
(現在は浦和短期大学・教授)
初田哲男 (筑波大学・物理学系・助教授)
(現在は京都大学大学院理学研究科・助教授)
新井一郎 (筑波大学・物理学系・講師)(平成6〜7年に研究分担)
栗田和好 (筑波大学・物理学系・講師)(平成6〜8年に研究分担)
(現在は理化学研究所・研究員)
西村俊二 (筑波大学・物理学系・助手)(平成7年以降、研究分担)
(現在は東京大学 原子核科学研究センター・機関研究員)
佐甲博之 (筑波大学・物理学系・助手)(平成8年以降、研究分担)
(現在は独GSI研究所・研究員)
研究経費; 平成6年度 68,000千円
平成7年度 73,000千円
平成8年度 72,000千円
平成9年度 26,000千円
計 239,000千円
我々の宇宙を構成する素粒子(ハドロン)は、クォークとグルオンが閉じ込められた状態と考えられており、これらクォーク、グルオンの運動状態は量子色力学によって記述される。量子色力学の計算によれば、非常に高温高密度になると、閉じ込めから開放されて、クォークとグルオンのプラズマ状態(QGP)に相転移すると予測されている。ビッグバン宇宙の極めて初期には宇宙はQGP状態として存在したと考えられている。QGP相転移がその後の宇宙にどのような影響を与えたかなど、物質の存在形態として全く未知なるクォーク・グルオンプラズマを検証し研究することは、原子核、素粒子、宇宙物理の基本的問題であるだけでなく、人類の自然認識の根幹に関わる大問題に答えるものであろう。
相対論的高エネルギー重イオン衝突では、静止質量の数十倍〜数百倍もの運動エネルギーを持つまでに加速された原子核が互いに激しく衝突し、そのエネルギーが原子核程度の小さな空間領域に放出される。このため、高温高密度状態となった反応中心部では、通常物質からQGP状態への相転移をひきおこすであろうと予測されている。筑波大学計算物理学研究センターで行われているような最近の量子色力学の数値計算によると、相転移の起こる臨界温度は150MeV程度でエネルギー臨界密度1〜2GeV/fm3と考えられており、高温高密度状態を作り出すことのできる高エネルギー重イオン衝突ではこの臨界を十分超えると考えられている。米国ブルックヘブン国立研究所(BNL)や欧州の原子核研究機構(CERN)では、高エネルギー重イオン衝突を利用したQGP相転移の研究のため加速器の建設がつぎつぎに進められている。BNLでは以前より核子あたり15GeVに加速された酸素やシリコンのビームを用いた実験が行われているが、高エネルギー重イオン衝突型加速器(RHIC)の建設も同時に進められており、平成11年度には実験を開始する予定である。一方、CERNでは、平成6年より核子あたり160GeVの鉛のビームの加速が始まっており、QGPを示唆するような興味深い現象が発見されている。
何をもってQGP生成の証拠とすればよいか様々な実験的方法が提案されている。なかでも重要なものとして次に述べる3つの方法がある。
(1)平均横運動量の増加;パイ中間子だけからなる高温度高密度状態ではパイ中間子の新規生成のために温度がパイ中間子の質量程度以上には上昇しない。ところがQGPではその制限がなくなるので、温度の上昇が期待される。実験的には、温度に相当するパラメーターである平均横運動量の増加を検出する。
(2)巨大ハドロンガスの発生;量子色力学ではクォークやグルオンの状態を記述するため、新たにカラーの自由度が導入される。クォークやグルオンはカラーの自由度を持つが、ハドロンは全体としてカラーが無色でなければいけないという制限がある。このため、ハドロン状態からQGP状態への相転移ではカラーの自由度が解放され、系の自由度が劇的に増加するという大きな特徴がある。衝突で生成されたQGPが様々な冷却機構によって再びハドロン相に戻る相転移においては、系の自由度即ちエントロピー密度が劇的に減少する。すると、エントロピー保存から体積の巨大なハドロンガスの発生が予測される。これは、極めて特徴的な現象である。
(3)ファイ中間子の質量変化;筑波大の初田ら(本研究グループに所属)の計算によると、高温高密度状態ではベクター中間子の質量は減少する。特にファイ中間子のK中間子への崩壊モードはその質量差が小さいため、分岐比等に大きな影響が現れると期待される。
(4)QCDの計算によるとQGPが生成されクォークとグルオンが解放される同じエネルギー密度でカイラル対称性の回復が起こると予想されている。カイラル対称性の回復を直接示唆する現象としてDCC(Disoriented Chiral Condensate)現象がある。これは、Bjorkenらによって宇宙線事象中に発見されたセンタウロ事象を説明するために導入された。高エネルギー重イオン衝突で発生した荷電粒子数と光子数の相関を精密に調査することにより、カイラル対称性の回復の有無を検証することができる。
これらの実験的方法を以て、QGP生成の証拠とするには高エネルギー重イオン衝突の反応の正確な知識が必要となるが、これらの衝突で考えられる反応は非常に複雑で現在の知識では、正確に予測することが難しい。種々の高エネルギー重イオン反応模型や導入パラメーター値に依存しないで、QGP生成の実験証拠を得るためにはビームエネルギーに関して相転移臨界前後の大きな変化を捉えるなどの系統的測定を必要とする。
本研究では、より基礎的データを積み上げ、反応機構の基礎的知見を得ることを第一の目標としている。反応中心部において生成されるパイ中間子、K中間子、陽子など実験的に明確に粒子識別されたハドロンの系統的測定を様々なエネルギー、即ち、BNLの15GeV、CERNの160GeV、さらに衝突型加速器における実験まで系統的に収集し、QGP生成を理解するために必要な反応機構の基礎的知見を得る。その上で、上述のハドロン測定による3つの重要と思われる検証データについて検討し、QGP相転移の確実な証拠としたい。また、荷電粒子と光子の同時測定による相関観測から、カイラル対称性の回復の検証となるDisoriented Chiral Condensate現象の有無の検証を実施する。
ハドロンの系統的測定のためには優れた粒子識別能力を備えた実験装置を建設することが必要不可欠で、飛行時間測定器(TOF)が我々の目的に即している。高時間分解能を持つTOF装置の技術を持つ筑波大学のグループが、CERN−SPS(WA98)実験及RHIC(PHENIX)実験のための飛行時間測定器を製作し、両実験においてハドロンの系統的測定を行った。
(平成6年度研究計画調書より抜粋)
平成6〜7年度は、1000セグメントを持つ高時間分解能飛行時間測定器を製作する。特に、平成6年度には、その1部をテストし、最終的性能を確認したうえで量産に入る。平成6年度の設備費は主にこのテストのためである。
平成8年度より、CERNの実験(WA98)において、1粒子包括測定、2粒子相関測定を行い、衝突で達成された温度、密度等の基礎的データを収集する。核子あたり160AGeVの鉛ビームを静止標的核に入射するこの実験では反応中心部に高温、高バリオン密度状態が生成され、われわれが行ってきたBNL実験以上のエネルギー密度が達成されよう。平成9年度からは、得られたデータの解析を行うための計算機を購入するが、本研究上重要な要素のひとつである。
平成10年度より、BNL−RHICにおいて実験を行う。ここでは、100GeV+100GeVのより高エネルギー反応であるため、高温ではあるが、バリオン密度の低い状態が実現される。ハドロンの測定は、衝突の反応機構を理解する上で必要不可欠な情報を与えるのみならず、ストレンジネス生成量やファイ中間子のハドロン崩壊の分岐比等の測定は、QGP生成の実験的証拠として重要である。
これらの1連の系統的測定によって、高バリオン密度状態のハドロンの振舞と低バリオン密度状態の比較を行うことができる。この比較は、特に2次的衝突問題を理解する上で重要な情報を与える。また、QGP生成の信号の理解に重要な理論計算との比較の際に、粒子密度や達成温度、化学平衡の有無等、十分な制限を加えることとなり、必要不可欠の情報をあたえる。
高時間分解能飛行時間測定器の設計、プロトタイプの製作及び性能の確認を行った。本研究で製作する高時間分解能飛行時間測定器はエネルギーも異なる欧州共同原子核研究機構(CERN)WA98実験と米国ブルックヘブン国立研究所(BNL)PHENIX実験の両実験において使用される。そのために、測定器の設置、移動が容易であるようにモジュラー構造を持つように設計した。それぞれのパネルは96本の独立したカウンターから構成され、全体として10パネルからなる飛行時間測定器となる。BNLの実験は衝突型加速器における測定であるので、数百MeVの低い運動量領域から測定対象となる。そこで、飛行時間測定器の基材となるボードについて最小の質量で最大の強度を得るために最新の航空機材料であるカーボンファイバー・ハニコム構造を採用した。これらの設計に基づき、平成6年10〜11月にかけてプロトタイプを作成した。12月と3月には高エネルギー物理学研究所のテストビームを利用して、性能の最終確認をおこない、計画通りの性能を挙げていることを確認した。さらに、これらの設計の妥当性を検討するため、CERNにおける核子あたり160GeVの鉛・鉛衝突反応の計算機シミュレーションを行った。スペクトロメーターの設計を行い、飛跡検出の精度と効率、運動量測定の精度等について検討し、問題なく測定を行えることをシミュレーションにより確認した。
平成6年度に達成された飛行時間測定器プロトタイプの成果をふまえ、飛行時間測定器の量産を開始した。多くの大学院生の協力を得て、筑波大学で飛行時間測定器の製作を行い、CERNに搬入した。設置のための架台についても筑波で作成し納入した。平成7年7月より西村助手と大学院生2名がCERNに常駐し、設置作業を進めた。8月にはCERNのパイ中間子ビームを用いて実験の読み出しトリガー回路の調整作業及びテストを行った。より低横運動量のファイ中間子測定のための飛跡検出器の製作も共同で進めている。11〜12月の鉛ビームを用いた実験において予備測定を行い、飛行時間測定の時間分解能として120ピコ秒を得ることができた。飛跡検出器、飛行時間測定器のバックグラウンドや粒子検出効率の試験だけでなく、パイ中間子、K−中間子の予備的データの収集を行うことができた。中心ラピディティ領域の低横運動領域について、1粒子包括測定を行い、衝突で達成された温度や化学平衡の有無等の基礎的データを収集することができた。また、集団運動の検出を試みる測定を行った。
読み出し回路については以前より、コロンビア大学(ネヴィス研)との協力によって進めた。世界初のパイプライン方式の時間読み出し回路で、高時間分解能飛行時間測定器に最も適した回路となっている。この読み出し回路のため、コロンビア大学では専用の集積回路の開発から行った。読み出し回路の制御プログラムは筑波大学が担当し、そのために大学院生1名と栗田講師がニューヨークに常駐して開発作業に取り組んだ。平成8年2月には読み出し回路の最終試験を高エネルギー物理学研究所において行い、80ピコ秒以下の時間分解能が得られることを確認し、生産を開始した。
読み出し回路の製作を完成し、CERNに設置を行い、当初計画通りにCERN(欧州共同原子核研究機構)における最終測定のための実験を平成8年11〜12月に無事に終了した。本科研費で製作した高時間分解能飛行時間測定器について目標としていた時間分解能85ピコ秒以下という時間分解能が得られていることが、最終データ上でも確認され、その性能を充分に発揮することができた。データ解析を進め、多重飛跡解析や粒子識別も問題なく行えることを確認した。
11〜12月の鉛ビームを用いた実験で収集したデータにおいて、集団運動が観測され、平成8年秋の日本物理学会に於いて報告を行った。従来の観測からは見つからないとされてきたもので、160AGeVの重イオン衝突において観測されたのは世界で始めてである。160AGeVの重イオン衝突では、QGPによるデバイ遮蔽効果と考えられるJ/Ψ抑制効果異常も発見されており、集団運動を用いて反応面決定が可能となると、ハドロン生成の反応面依存性という新しい分析方法を手に入れることとなり、多くの研究者がこの問題に多大な興味を示した。平成8年度の測定データでは、さらにこの効果の解析を進め、1粒子包括測定のみならず、2粒子相関測定においても、集団運動が観測された。これらの解析結果について、平成9年3月にインドで開かれた国際会議で三明が座長を務める中で、本研究グループの西村助手及び大学院生の倉田美月が招待講演を行った。160AGeVにおける初めての報告となった。また、DCC検証のための荷電粒子数と光子数の相関について解析を行った。
データ解析が研究活動の中心となった。CERNから西村助手と大学院生が帰国し、平成7〜8年度に収集したデータの解析を筑波大学で行った。大学院最先端設備費によって飛跡解析装置を導入し、計算時間のかかる飛跡解析を行った。このためにジュネーブ大学の研究者2名が平成9年7月頃に1ヶ月滞在した。また、秋にはCERN・WA98実験の共同研究者会議を筑波大学にて開催し、海外より30名の研究者が参加した。
解析の統計精度の向上、系統的誤差の評価等を進めることができた。集団運動の解析方法等についても格段の向上が図られ、結果の信頼性が向上した。本研究分野において最も権威ある国際会議である高エネルギー原子核原子核衝突国際会議「クォーク物質’97」を平成9年の12月に筑波大学・大学会館にて開催した。今までは米国と欧州のみで開催されてきたが、第13回会議の今回初めて日本で開かれることとなった。本研究班の八木とコロンビア大の永宮が組織委員長、本研究班の初田と本研究班代表の三明が事務局を務めた。本研究など日本の研究者の研究活動が国際的に広く認識された結果であろう。本研究の結果について、平成9年3月、インドの国際会議における招待講演に引き続き、「クォーク物質’97」国際会議でも西村助手を初めとする4編の論文報告がなされ大きな反響が得られた。発表原稿の販売部数において、我々の研究成果への関心が高いことがわかった。
核子あたり160GeVのデータ収集はすべて完了し、質量共に満足のいくデータとなったので、当初計画通りに米国ブルックヘブン国立研究所におけるPHENIX実験に向けて飛行時間測定器の移設を行った。再調整の要する部品については筑波大にて実施してから、米国ブルックヘブン国立研究所に搬送した。平成9年3月から佐甲助手と大学院生2名の常駐体制を取った。
平成9年度までに、ほぼ確立された反応面決定方法を1粒子解析、2粒子解析に適用した分析を開始した。集団運動の一つのモードであるDirected Flowは標準模型(RQMD)の約半分の強度であることが確認された。他の集団運動モードであるElliptic Flow解析では、K+中間子は標準模型の反対の符号を持つことが確認された。いずれも世界初の分析結果であり、論文発表を次々に行っている。高エネルギー重イオン衝突の標準模型からのずれは極めて興味ある状況である。QGP証拠の一つである状態方程式の軟化と考えられるのか、また、K+中間子の振る舞いはIn-medium potentialを初めて明快に示したものなのか、今後の理論解析が待たれる。
我々の飛行時間測定器の測定準備は、当初計画通り9年度末までに、ほぼ完了していたが、米国ブルックヘブン国立研究所におけるPHENIX実験は、加速器建設、実験装置の建設の遅れのために、当初計画から約1年遅れ、1999年開始となった。
(詳細は各項目毎に示した収録論文を参照されたい)
★ 当初研究計画通りに、高時間分解能飛行時間測定器を開発・製作を行った。コロンビア大学(ネヴィス研)との協力により、世界初のパイプライン方式の高時間分解能読み出し回路を開発した。予定していた時間分解能85ピコ秒を得、高多重度下において粒子識別に成功した。(関連収録論文;[1]、[4]、[14]、[15]、[24])
★ 製作した高時間分解能飛行時間測定器、読み出し回路をCERN・WA98実験に飛跡測定器と共に設置し、平成7〜8年度に1粒子包括測定、2粒子相関測定を行った。平成9年度までに核子あたり160GeVまでのハドロン及び光子の系統的測定を完了した。(関連収録論文;[3]、[9]、[12]、[16]、[22])
★ ハドロン生成に関する系統的データを核子あたり4GeVから160GeVの重イオン衝突について比較検討を進めた。現在までのところQGPを示唆するような有意な変化は見られていない。(関連収録論文;[2]、[7]、[18]、[21])
★ 荷電粒子と光子の生成量相関の測定から、Disoriented Chiral Condensate効果の出現の有無の検証を行った。カイラル対称性回復を示唆する結果は得られていない。(関連収録論文;[5]、[10]、[17])
★ 思いがけない測定成果として、160AGeV重イオン衝突における集団運動の発見があった(世界初)。反応面決定方法を1粒子解析、2粒子解析に適用した分析を開始した。集団運動の一つのモードであるDirected Flowは標準模型(RQMD)の約半分の強度であることが確認された。QGPの兆候である状態方程式の変化を示唆するのかどうかは今後の理論的解析を待たねばならない。他の集団運動モードであるElliptic Flow解析では、K+中間子は標準模型の反対の符号を持つことを示唆する結果となった。いずれも世界初の分析結果である。(関連収録論文;[6]、[8]、[11]、[13]、[19]、[23]、[25]、[26])
★ 高温高密度状態におけるハドロンの振る舞い、ファイ中間子等の振る舞いの変化に関する理論的研究(理論班による)。(関連収録論文;[27]、[28]、[29]、[30]、[31]、[32]、[33]、[34]、[35])
★ 製作した高時間分解能飛行時間測定器、読み出し回路を米国ブルックヘブン国立研究所におけるPHENIX実験に向けて飛行時間測定器の移設をほぼ完了した。当初計画では、平成10年度から測定を開始する予定であったが、加速器建設、実験装置の建設の遅れのために、当初計画から約1年遅れ、1999年開始となった。(関連収録論文;[20])
筑波大学のグループの誇る高時間分解能測定器をてこにして、4AGeVから160AGeVまで、一貫した手法で粒子識別・ハドロン解析を行い、反応中心部において生成されるパイ中間子、K中間子、陽子など実験的に明確に粒子識別されたハドロンの系統的測定データを提供できることが出来た意義は大きい。
QCD相転移ではクォークやグルオンの閉じ込めからの解放とカイラル対称性の回復が同時に起こると考えられており、現在までの多くの検証は閉じ込めからの解放に重きを置いているが、カイラル対称性の回復も同等に重要な現象である。荷電粒子と光子の相関測定には実験技術、解析手法として多くの問題を含んでおり、今回の解析で有意な信号は観測されなかったものの、RHIC等の実験を考えて場合、その解析手法を確立した点で重要な寄与であると考えられる。
160AGeVの従来の観測からは見つからないとされていた集団運動が適切な粒子識別を行った観測を行うと可能であることを初めて示した。この解析手法は低エネルギーの重イオン衝突でなされていたものであるが、反応中心領域と非関与部の分離が十分でない低エネルギーでは単純な吸収により、興味ある現象があっても遮蔽されてよく見えないという問題があった。集団運動を用いて反応面決定が可能となると、ハドロン生成の反応面依存性という新しい分析方法を手に入れることとなり、従来の観測では平均値しか観測されなかった物理量がより詳細に分析できることとなった。
反応面依存性観測から、集団運動モードの1種であるElliptic Flow解析では、K+中間子は、K−中間子やパイ中間子とは、反対の符号を持つことが確認された。標準模型では、パイ中間子や陽子については定量的に説明されるが、K+については反対の符号、K−については強度が合わない。反対符号を説明するには、カイラル摂動模型で予想されるIn-medium potentialの影響と考えられるが、定量的理論解析はこれからである。これが理論解析でも確認されれば、今までは間接的に存在が予言されていたものであるが、明瞭にその影響を示した初めてのデータとなる。今後の理論解析が待たれる。
QGP証拠の一つとして、相転移点に於ける状態方程式の軟化現象がある。状態方程式の軟化すると、圧力が高まらないために、圧力勾配によって決定される集団運動の強度が低下すると期待される。我々の観測によると集団運動のモードであるDirected Flowは標準模型(RQMD)の予測値の約半分であることが確認された。12AGeVでは標準模型は観測値よりやや小さな値を予測することが知られており、160AGeVの重イオン衝突では状態方程式に何らかの変化が起きていることを示唆しているのかもしれない。今後のより詳細な理論解析が待たれる。
CERNのNA38/50実験グループは、J/ψ粒子の収量を様々な衝突において測定を行ってきた。陽子と原子核の衝突から硫黄+ウラニウム衝突に至るまで徐々にJ/ψ粒子の収量が一様に減少し、通常の核物質中におけるJ/ψ粒子の2次的衝突によって失われたものと定量的に理解されている。ところが、鉛原子核同士の衝突では、この指数関数的減衰から、さらに減少していることが観測された。QGP説が有力視されている。
しかしながら、定量的にはJ/ψ抑制効果に関する現時点での理論的解釈は混沌としている。QGP説にしても急激な減衰がどうしておこるのか定量的理解が出来ていない。QGPに関わる2つの閾値による効果だという推測がある。またQGP相転移時の圧力低下から解釈できるという意見もある。反QGP説の根拠として、J/ψ粒子と同様な方向に同様な速度で作られるパイ中間子等のガスによる吸収がある。この効果について2つの理論チームで計算されたが、両者の結論は全く異なっている。J/ψ粒子の生成以前の初期過程の理解が不十分であるのかもしれない。今後はJ/ψ粒子だけでなく反応で生成された多くのハドロンやそれらの集団的運動の問題も含めて、総合的に反応の描像を構築し理解しなければいけない時期にきている。本研究班の明らかとしたように、反応初期から存在する集団運動があると、J/ψ粒子の初期生成量が減少するとも考えられる。この効果を定量的に取り入れた上でJ/ψ粒子の初期生成量を検討する必要がある。
本研究発表に深く関わる国際会議1件、物理学会シンポジウム1件を開催した。
本研究分野において最も権威ある国際会議である高エネルギー原子核原子核衝突国際会議「クォーク物質’97」を平成9年の12月に筑波大学・大学会館にて開催した。本研究班の八木とコロンビア大の永宮が組織委員長、本研究班の初田と本研究班代表の三明が事務局を務めた。本研究をはじめとする日本の研究者の研究活動が国際的に広く認識された結果である。この国際会議は今までは米国と欧州のみで開催されてきたが、第13回会議の今回初めて日本で開かれることとなった。口頭発表は、22名からなる国際諮問委員会による投票で選ばれたが、その中に本研究に関わる口頭発表が5編も含まれたことは特筆に値する。プロシーディングスはNuclear Physics A638号として出版された。口頭発表に用いられたOHPシートは会議開催中に販売されたが、本研究班の筑波大・西村俊二助手が行った報告の販売部数がパラレルセッションで第2位となり高い評価を受けた。本研究にとって貴重な研究成果発表の場となった。
QM97写真
題目;高エネルギー重イオン衝突の物理(RHIC前夜の総括)
日時;平成10年10月4日(日)13:30〜17:00
世話人;筑波大物理・三明康郎、広大理・杉立徹
シンポジウムの要旨
我々の宇宙を構成する素粒子(ハドロン)は、クォークとグルオンが閉じ込められた状態と考えられており、これらクォーク、グルオンの運動状態は量子色力学によって記述される。量子色力学の計算によれば、非常に高温高密度になると、閉じ込めから開放されて、クォークとグルオンのプラズマ状態(QGP)に相転移すると予測されている。ビッグバン宇宙の極めて初期には宇宙はQGP状態として存在し、その後相転移を起こしてハドロンが生成されたと考えられている。もし、この相転移が1次の相転移であるならば、その後の宇宙の進化に影響を与えたとも考えられている。物質の存在形態として全く未知なるQGPの研究は多くの分野を巻き込んだ研究課題となっている。
高エネルギー重イオン衝突では原子核が激しく衝突し、そのエネルギーが原子核程度の小さな空間領域に放出される。高エネルギー重イオン衝突は地上で高温高密度状態を作り出すユニークな方法である。高温高密度状態となった反応中心部では、通常の物質からQGP状態への相転移をひきおこすであろうと予測されている。量子色力学の数値計算によると、相転移の起こる臨界温度は150MeV程度と考えられており、相対論的高エネルギー重イオン衝突では、この臨界を超えると期待される。米国ブルックヘブン国立研究所(BNL)のAGS加速器や欧州共同原子核研究機構(CERN)のSPS加速器では、高エネルギー重イオンビームの加速がつぎつぎに進められてきた。BNLでは86年より核子あたり15GeVのシリコンビーム、91年より10GeVの金の原子核ビームの加速が行われ、CERNでは86年より核子あたり200GeVの硫黄ビーム、94年より核子あたり160GeVの鉛ビームの加速が行われ、様々な実験が行われてきた。
BNLでは世界初の衝突型高エネルギー重イオン加速器(RHIC; Relativistic Heavy Ion Collider)の建設が進められてきたが、いよいよ、99年から核子あたり100GeVの金の原子核同志の衝突実験が可能となる。衝突型加速器であることから従前の静止標的を用いた実験に比べて、衝突エネルギーが格段に増大し、達成される温度、時間、体積共に大きく増加すると期待されている。反応中心部の数百fm3の領域において、2〜6GeV/fm3ものエネルギー密度が達成されると予測される。これは、人類が手にしたことのない最高のエネルギー密度であることは言うまでもないが、量子色力学(QCD)が予測するQGP相転移に必要なエネルギー密度を十分に越えると考えられている。
RHICでは、2つの大型実験の実施が予定されている。PHENIX実験とSTAR実験である。STAR実験では、大型のソレノイド電磁石中に大型TPCを組み込み、個々の衝突で発生する粒子すべてを観測し、事象全体を把握することを目標としている。一方、PHENIX計画では、なるべく多種多様なQGP生成のシグナルを同時に測定することをその主な戦略としている。日本の研究チームは、主要実験の一つであるPHENIX実験に実験計画提案の時期から係わっており、大きな寄与を行っている。
今回のシンポジウムでは、RHICにおける実験開始を来年に控え、BNLのAGSやCERN・SPSの実験結果を見直し、高エネルギー重イオン衝突で見つかった現象や効果を総括してみようと計画した。高エネルギー重イオン衝突から観測される事象は、反応初期の高温高密度状態から、断熱膨張の結果冷却した反応後期の状態までの時間積分が観測される。従って、RHIC衝突の反応初期に、極めて高温高密度状態が発生しても、その反応後期にはBNL・AGSやCERN・SPSなどの”低”エネルギーで見られるような現象が何らかの形で現れるはずであり、”差分”を見分けることが必須である。こういった観点から、CERN・SPSまでの様々な観測事実を総括し、あらためて認識することは重要であろう。4人の講師に高エネルギー重イオン衝突におけるレプトン対観測、ハドロン観測の総括、梶野氏に宇宙初期の研究分野との関連、さらに、秋葉氏にこれらの総括を踏まえた上でPHENIX実験で達成される成果について講演を依頼した。
CERN・SPSの核子あたり160GeVの鉛・鉛衝突で観測されたJ/ψ粒子の抑制効果は、QCDにおけるデバイ遮蔽効果と考えられ、QGPの実験的証拠として大変有力であると考えられている。レプトン対生成の増加もQGP生成の先駆的現象として理解できるのであろうか。ハドロンの生成に関しても、化学平衡や熱平衡がどこまで達成されていると見て良いのであろうか。最近特に注目を集めている衝突の集団的運動は、QGP生成のシナリオと矛盾なく理解できるのであろうか。RHICのデータを解釈するまでに理解しておかなければならない課題は多い。
日本の理論、実験の研究チームは、BNLやCERNでの実験やその理論解析に深く係わり、大きな貢献をしてきた。本研究分野の最も権威ある国際会議である高エネルギー原子核原子核衝突国際会議「クォーク物質」が平成9年の12月に筑波大学にて開催された。今までは米国と欧州のみで開催されてきたが、第13回会議の今回初めて日本で開かれた。これは、日本人研究者の長年の貢献が評価されたものであろう。
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・ Particle Production in Au+Au collisions, Y. Akiba, K. Kurita, Y. Miake, K. Yagi, et.al.,
Nuclear Physics A610(1996)139c-152c
* Photon and Neutral Meson Production in 158 A GeV Pb-208 + Pb Collisions. T. Peitzmann, K. Enosawa, M. Kurata, K. Kurita, Y. Miake, Y. Miyamoto, S. Nishimura, S. Sato, Y. Yokota and K. Yagi, et.al.,
Nuclear Physics A610 (1996) 200c-212c.
・ The centrality dependence of the source size for Au-Au collisions at the AGS. M.D. Baker, K. Kurita, Y. Miake, K. Yagi, et.al.,
Nuclear Physics A610(1996)213c-226c
* Interferometry Results from the CERN WA98 Experiment. M. Aggarwal, K. Enosawa, M. Kurata, K. Kurita, Y. Miake, Y. Miyamoto, S. Nishimura, S. Sato, Y. Yokota and K. Yagi, et.al.,
Nuclear Physics A610 (1996) 256c-263c.
* A gas Cherenkov beam counter with timing resolution of 30 ps for relativistic heavy ion experiments. T. Chujo, K. Enosawa, R. Higuchi, K. Kanoh, M. Kurata, K. Kurita, Y. Miake, Y. Miyamoto, S. Nishimura, Y. Okuma, S. Sato, Y. Yokota and K. Yagi,
Nuclear Instruments and Methods A383, 409-412 (1996).
・ Production of Phi mesons in Central Si+Au Collisions at 14.6 A GeV/c. Y. Akiba, K. Kurita, Y. Miake, et.al.,
Physical Review Letters 76:2021-2024,1996
・ Baryon Emission at Target Rapidities in Si+Al,Cu,Au Collisions at 14.6A GeV/c and Au+Au Collisions at 11.7 A GeV/c. L. Ahle, K. Kurita, Y. Miake, K. Yagi, et.al.,
Physical Review C55, 2604-2614, 1997
・ Two-particle rapidity correlations from the Bose-Einstein effect in central Si-28 +Au collisions at 14.6A GeV/c and intermittency. Y. Akiba, K. Kurita, Y. Miake, et.al.,
Physical Review C56:1544-1552,1997
・ Particle production at high baryon density in central Au+Au reactions at 11.6 A GeV/c. L. Ahle, K. Kurita, Y. Miake, K. Yagi, et.al.,
Physical Review C57:R466-R470,1998
・ Proton, deuteron, and triton emission at target rapidity in Au+Au collisions at 10.20A GeV: Spectra and directed flow. L. Ahle, K. Kurita, Y. Miake, K. Yagi, et.al.,
Physical Review C57, 1416-1420, 1998
・ Kaon Production in Au + Au Collisions at 11.6 A GeV/c. L. Ahle,K. Kurita, Y. Miake, K. Yagi, et.al.,
Physical Review C58, 3523-3538, 1998
* Search for Disoriented Chiral Condensates in 158 GeV/A Pb + Pb Collisions. M.M. Aggarwal, K. Enosawa, M. Kurata, K. Kurita, Y. Miake, Y. Miyamoto, S. Nishimura, S. Sato, Y. Yokota and K. Yagi, et.al.,
Physics Letter B420 (1998)169-179.
* First Evidence of Directed Flow at 158 A GeV Pb + Pb Collisions in WA98 Experiment, M.M. Aggarwal, K. Enosawa, M. Kurata, K. Kurita, Y. Miake, Y. Miyamoto, S. Nishimura, S. Sato, Y. Yokota and K. Yagi, et.al., Proceedings of International School on Physics of the Quark Gluon Plasma, June 3 ミ 6, 1997, Hiroshima, Japan,
Prog. Theor. Phys. Suppl, 129:179 - 183, 1997
* Hadron production in Au + Au Collisions at 4 A GeV from AGS-E866, T. Chujo, L. Ahle, K. Kurita, Y. Miake, K. Yagi, et.al., Proceedings of International School on Physics of the Quark Gluon Plasma, June 3 ミ 6, 1997, Hiroshima, Japan,
Prog. Theor. Phys. Suppl, 129:173 - 177, 1997.
* Collective Flow at AGS and SPS, Y. Miake, Proceedings of YITP International Workshop on Physics of Relativistic Heavy Ion Collisions, June 9 ミ 11, 1997, Kyoto, Japan,
Prog. Theor. Phys. Suppl, 129:235 ミ 242, 1997.
* Electromagnetic Signatures of QGP(Photons): Experimental Status, T. Awes, K. Enosawa, M. Kurata, K. Kurita, Y. Miake, Y. Miyamoto, S. Nishimura, S. Sato, Y. Yokota and K. Yagi, et.al., Proc. of 3rd International Conference on Physics and Astrophysics of Quark Gluon Plasma (ICPAQGP 97) , 111-119, Mar. 17-21, Jaipur, India.
* Search for Disoriented Chiral Condensates: An Experimental Perspective. Tapan K. Nayak, K. Enosawa, M. Kurata, K. Kurita, Y. Miake, Y. Miyamoto, S. Nishimura, S. Sato, Y. Yokota and K. Yagi, et.al., Proc. of 3rd International Conference on Physics and Astrophysics of Quark Gluon Plasma (ICPAQGP 97) , 167-179, Mar. 17-21, Jaipur, India.
* Directed Flow Analysis in Pb+Pb Collisions at 158 GeV per Nucleon. S. Nishimura, K. Enosawa, R. Higuchi, K. Kanoh, M. Kurata, K. Kurita, Y. Miake, Y. Miyamoto, Y. Okuma, S. Sato, Y. Yokota and K. Yagi, et.al., Proc. of 3rd International Conference on Physics and Astrophysics of Quark Gluon Plasma (ICPAQGP 97) , 258 - 269, Mar. 17-21, Jaipur, India.
* Production of Neutral Mesons in 158 AGeV Heavy Ion Collisions at the CERN SPS, C. Blume, K. Enosawa, M. Kurata, K. Kurita, Y. Miake, Y. Miyamoto, S. Nishimura, S. Sato, Y. Yokota and K. Yagi, et.al., Proc. of 3rd International Conference on Physics and Astrophysics of Quark Gluon Plasma (ICPAQGP 97) 471 - 474, Mar. 17-21, Jaipur, India.
* First Evidence of Directed Flow at CERN-SPS Energy from WA98 Experiment, M. Kurata, K. Enosawa, K. Kurita, Y. Miake, Y. Miyamoto, S. Nishimura, S. Sato, Y. Yokota and K. Yagi, et.al., Proc. of 3rd International Conference on Physics and Astrophysics of Quark Gluon Plasma (ICPAQGP 97) 549 - 553, Mar. 17-21, Jaipur, India.
* Performance of Multi-step avalanche Chambers Equipped with Two-Diemsional Electronic Readout, L. Carlen, K. Enosawa, M. Kurata, K. Kurita, Y. Miake, Y. Miyamoto, S. Nishimura, S. Sato, Y. Yokota and K. Yagi, et.al.,
Nuclear Instruments and Methods A412:361-373,1998
* Fabrication and Test of a 70000 Channels Electronic Pad Readout System for Multi-Step Avalanche Chambers, L. Carlen,K. Enosawa, M. Kurata, K. Kurita, Y. Miake, Y. Miyamoto, S. Nishimura, S. Sato, Y. Yokota and K. Yagi, et.al.,
Nuclear Instruments and Methods A413:92-104,1998
・ Au + Au Reactions at the AGS: Experiments E866 and E917, L. Ahle, K. Kurita, Y. Miake, K. Yagi, et.al.,
Nuclear Physics A638, 57c ミ 68c, 1998.
* Recent Results on Pb + Pb Collisions at 158 A GeV from the WA98 Experiment at CERN, M.M. Aggarwal, K. Enosawa, M. Kurata, K. Kurita, Y. Miake, Y. Miyamoto, S. Nishimura, S. Sato, Y. Yokota and K. Yagi, et.al.,
Nuclear Physics A638, 147c ミ158c, 1998.
* Present Status and Future of DCC Analysis, T. Nayak, K. Enosawa, M. Kurata, K. Kurita, Y. Miake, Y. Miyamoto, S. Nishimura, S. Sato, Y. Yokota and K. Yagi, et.al.,
Nuclear Physics A638, 147c ミ158c, 1998.
* Centrality and Collision System Dependence of Anti-proton Production from p+A to Au+Au Collisions at AGS Energies, H. Sako, L. Ahle, K. Kurita, Y. Miake, K. Yagi, et.al.,
Nuclear Physics A638, 427 - 430, 1998.
* Collective Flow in 158 A GeV Pb + Pb Collisions, S. Nishimura, K. Enosawa, M. Kurata, K. Kurita, Y. Miake, Y. Miyamoto, S. Sato, Y. Yokota and K. Yagi, et.al.,
Nuclear Physics A638, 459 ミ 462, 1998.
* The PHENIX Experiment at RHIC, D.P. Morrison, R. Higuchi,T. Hirano, S. Kato, A. Kiyomichi, M. Kurata, K. Kurita,Y. Miake, S. Nishimura, H. Sako, S. Sato, T. Shimada, K. Yagi, Y. Yokota, et.al.,
Nuclear Physics A638, 565c ミ 569c, 1998.
* Spin Physics with the PHENIX Detector System, D.P. Morrison, R. Higuchi,T. Hirano, S. Kato, A. Kiyomichi, M. Kurata, K. Kurita,Y. Miake, S. Nishimura, H. Sako, S. Sato, T. Shimada, K. Yagi, Y. Yokota, et.al., Nuclear Physics A638, 575c ミ 578c, 1998.
* Anti-Proton Production in Au + Au Collisions at 11.7 A GeV/c, L. Ahle,K. Kurita, Y. Miake, H. Sako, K. Yagi, et.al.,
Physical Review Letters 81, 2650 ミ 2654, 1998.
* Centrality Dependence of Neutral Pion Production in 158 A GeV Pb + Pb Collisions, M.M. Aggarwal, K. Enosawa, M. Kurata, K. Kurita, Y. Miake, Y. Miyamoto, S. Nishimura, S. Sato, Y. Yokota and K. Yagi, et.al.,
Physical Review Letters 81:4087-4091,1998
* Collective Flow in Pb+Pb Collisions at the CERN-SPS, S. Nishimura, Proceedings of the Winter Workshop on Nuclear Dynamics, January 1999, Park City, Utah, USA.
* A Large-acceptance spectrometer for tracking in a high multiplicity environment, based on space point measurements and high resolution time-of-flight, L. Carlen, M.M. Aggarwal, K. Enosawa, M. Kurata, K. Kurita, Y. Miake, Y. Miyamoto, S. Nishimura, S. Sato, Y. Yokota and K. Yagi, et.al., Nuclear Instruments and Methods in print.
* Directed Flow in 158 AGeV Pb+Pb collisions, M.M. Aggarwal, K. Enosawa, M. Kurata, K. Kurita, Y. Miake, Y. Miyamoto, S. Nishimura, S. Sato, Y. Yokota and K. Yagi, et.al.,
Submitted to Phys. Rev. Lett.
* Freeze-Out Parameters in Central 158AGeV Pb+Pb Collisions, M.M. Aggarwal, K. Enosawa, M. Kurata, K. Kurita, Y. Miake, Y. Miyamoto, S. Nishimura, S. Sato, Y. Yokota and K. Yagi, et.al.,
To be submitted to Phys. Rev. Lett.
* Elliptic Flow of Kaons and Pions in 158 AGeV Pb+Pb collisions,M.M. Aggarwal, K. Enosawa, M. Kurata, K. Kurita, Y. Miake, Y. Miyamoto, S. Nishimura, S. Sato, Y. Yokota and K. Yagi, et.al.,
To be submitted to Phys. Rev. Lett.
* Systematics of Inclusive Photon Production in Pb+Pb, Nb, and Ni Collisions at 158A GeV, M.M. Aggarwal, K. Enosawa, M. Kurata, K. Kurita, Y. Miake, Y. Miyamoto, S. Nishimura, S. Sato, Y. Yokota and K. Yagi, et.al.,
To be submitted to Phys.Lett.B
理論班
* The pion-nucleon coupling constant in QCD sum rules, H. Shiomi and T. Hatsuda,
Nucl. Phys. A594(1995)294-310.
* Phi meson in Nuclear Matter, H. Kuwabara and T. Hatsuda,
Prog. Theor. 94(1995)1163-1167
* Light Vecor Mesons in Nuclear Matter, T. Hatsuda, H. Shiomi and H. Kuwabara,
Prog. Theor. 95(1996)1009-1028
* UA(1) symmetry restoration in QCD with Nf flavors, S. H. Lee and T. Hatsuda, Phys. Rev. D54(1996)R1871-R1873
* What thermodynamics tells us about the QCD plasma, A. Asakawa and T. Hatsuda,
Phys Rev. D55(1997)4488-4491
* Tensor charge of the nucleon in lattice QCD, S. Aoki, T. Hatsuda and Y. Kuramashi,
Phys. Rev. D56(1997)433-436
* Optimized Perturbation Theory for Wave Functions of Quantum Systems, T. Hatsuda, T. Kunihiro and T. Tanaka,
Phys. Rev. Lett. 78(1997)3229-3232
* Pade improvement of the free energy in high temperature QCD, T. Hatsuda, Phys. Rev. D56(1997)8111-8114
* Soft modes associated with chiral transition at finite temperature, S. Chiku and T. hatsuda,
Phys. Rev. D57(1998)R6-R9
・ Y. Miake, "Relativistic heavy-ion collisions, proving Quark-Gluon Plasma in the early Universe.", Invited talk at the international symposium on "Origin of Matter and Evolution of Galaxies in the Universe", January 18 - 20, 1996, Atami, Japan.
・ S. Nishimura, "Directed Flow Analysis in Pb+Pb Collisions at 158 GeV per nucleon", 3rd International Conference on Physics and Astrophysics of Quark-Gluon Plasma, ICPAQGP' 97, March 1997, Jaipur, India.
・ M. Kurata, "Evidence of Directed Flow at CERN-SPS energy from WA98 experiment" 3rd International Conference on Physics and Astrophysics of Quark-Gluon Plasma, ICPAQGP' 97, March 1997, Jaipur, India.
・ T. Chujo, "Hadron Production in Au + Au Collisions at 4 A GeV from AGS-E866", International School on Physics of the Quark-Gluon Plasma, June 3 - 6, 1997, Hiroshima.
・ M. Kurata, "First Evidence of Directed Flow at 158 A GeV Pb + Pb Collisions in WA98 Experiment", International School on Physics of the Quark-Gluon Plasma, June 3 - 6, 1997, Hiroshima.
・ Y. Miake, "Particle production and flow at AGS and SPS", YITP International Workshop on Physics of Relativistic Heavy Ion Collisions, June 9 - 11, 1997, Kyoto, Japan.
・ S. Nishimura, "Collective Flow in 158AGeV Pb+Pb Collisions", 13th international conference on Ultra-relativistic Nucleus-Nucleus Collisions; QM97, December 1-5, 1997, Tsukuba, Japan.
・ H. Sako, "Centrality and collision system dependence of antiproton production from p+A to Au+Au collisions at AGS energies", 13th international conference on Ultra-relativistic Nucleus-Nucleus Collisions; QM97, December 1-5, 1997, Tsukuba, Japan.
・ Y. Miake, "Collective Flow in Heavy Ion Collisions at CERN-SPS WA98", International Workshop on Contemporary Physics, April 30-May2, 1998, Seoul, Korea.
・ Y. Miake, "PHENIX Experiment and Signatures of QGP", International Workshop on Contemporary Physics, April 30-May2, 1998, Seoul, Korea.
・ S. Nishimura, "Collective Flow in 158AGeV Pb+Pb Collisions", Winter Workshop on Nuclear Dynamics, January 1999, Park City, Utah, USA.
平成6年(‘94)秋の学会
一般講演 RHIC用飛行時間測定器のためのプラスチックシンチレーターにおける時間分解能劣化と光量減衰の研究 倉田美月
平成7年(‘95)春の学会(神奈川大学)
一般講演 Comparison of Particle Production among pp, Si+Al and Au+Au collisions at BNL-AGS林祥子
一般講演 CERN-WA98/RHIC-PHENIX実験のための高時間分解能飛行時間測定器の製作 佐藤進
平成7年(‘95)秋の学会(中部大学)
一般講演 飛行時間測定によるハドロン識別機能を付加した電磁カロリメーターの開発 樋口理子、宮本祐子、絵野澤和彦、加藤純雄、叶健治、熊谷荒太、倉田美月、栗田和好、佐藤進、西村俊二、三明康郎、八木浩輔、S. White
平成8年(‘96)春の学会(金沢大学)
一般講演 高エネルギー原子核衝突実験(CERN・WA98)のための高時間分解能チェレンコフ・ビームカウンター 絵野澤和彦、大熊靖夫、叶健治、倉田美月、栗田和好、佐藤進、中條達也、西村俊二、芳賀美紀子、樋口理子、三明康郎、宮本祐子、横田幸郎、八木浩輔
一般講演 160GeV/Aの鉛・鉛衝突における光子・ハドロン測定(CERN・WA98実験) 西村俊二、絵野澤和彦、大熊靖夫、叶健治、倉田美月、栗田和好、佐藤進、中條達也、芳賀美紀子、樋口理子、三明康郎、宮本祐子、横田幸郎、八木浩輔、他WA98 Collaboration
平成8年(‘96)秋の学会(佐賀大学)
一般講演 Hadron Measurement in Pb+Pb collisions at 158 AGeV/c from CERN-SPS-WA98 experiment 倉田美月、絵野澤和彦、加藤純雄、栗田和好、佐藤進、中條達也、西村俊二、三明康郎、宮本祐子、八木浩輔、横田幸郎、他
一般講演 Antiproton Production in Au+Au Collisions at 11.7 AGeV/c from BNL-AGS E866 Experiment, 佐甲博之、加藤純雄、熊谷荒太、栗田和好、林祥子、三明康郎、八木浩輔、他
一般講演 高エネルギー原子核衝突実験PHENIX/WA98のための高時間分解能飛行時間測定器のデータ読み出し系の開発 絵野澤和彦、大熊靖夫、加藤純雄、叶健治、倉田美月、栗田和好、佐甲博之、佐藤進、中條達也、西村俊二、樋口理子、三明康郎、宮本祐子、横田幸郎、八木浩輔、他
平成9年(‘97)春の学会(名城大学)
一般講演 Deuteron Production in Au+Au Collisions at 11.7 A GeV/c from BNL-AGS E866 Experiment. 熊谷荒太、加藤純雄、栗田和好、佐甲博之、林祥子、三明康郎、八木浩輔、他
一般講演 WA98実験158AGeV/c鉛+鉛衝突におけるハドロン生成機構のフロー依存性 倉田美月、石橋達平、浦沢幸子、絵野澤和彦、大熊靖夫、加藤純雄、清道明男、栗田和好、佐甲博之、佐藤進、中條達也、西村俊二、樋口理子、三明康郎、三浦大輔、宮本祐子、八木浩輔、横田幸男、他
一般講演 Identified particle measurement in Pb(158 GeV/c per nucleon) +Pb collisions at CERN-SPS 佐藤進、石橋達平、浦沢幸子、絵野澤和彦、大熊靖夫、加藤純雄、清道明男、倉田美月、栗田和好、佐甲博之、中條達也、西村俊二、樋口理子、三明康郎、三浦大輔、宮本祐子、八木浩輔、横田幸男、他
一般講演 PHENIX実験飛行時間測定器の鉛ガラスカロリメーターからのバックグラウンド測定 清道明男、浦沢幸子、絵野澤和彦、大熊靖夫、加藤純雄、倉田美月、栗田和好、佐甲博之、佐藤進、島田知弘、中條達也、西村俊二、林寛、樋口理子、平野太一、三明康郎、三浦大輔、宮本祐子、八木浩輔、横田幸男
平成9年(‘97)秋の学会
一般講演 Testing of the front-end electronics with analogue pipeline readout for PHENIX time-of-flight counters.絵野沢和彦、中條達也、樋口理子、加藤純雄、佐藤進、倉田美月、栗田和好、三明康郎、宮本祐子、西村俊二、八木浩輔、他
一般講演 AGSエネルギー領域に於けるハドロン生成のビームエネルギー依存性、中條達也、林祥子、加藤純雄、熊谷荒太、栗田和好、三明康郎、佐甲博之、八木浩輔、他
平成10年(‘98)春の学会
一般講演 PHENIX飛行時間測定器較正レーザーシステムの開発、石橋達平、稲葉基、浦沢幸子、絵野沢和彦、加藤純雄、清道明男、倉田美月、栗田和好、佐甲博之、佐藤進、島田知弘、中條達也、西村俊二、林寛、樋口理子、平野太一、三明康郎、三浦大輔、宮本祐子、八木浩輔、横田幸郎
一般講演 Observation of Directed and Elliptic Flow at CERN-WA98 in 158 A GeV Pb + Pb Collisions (I)、倉田美月、絵野沢和彦、加藤純雄、栗田和好、佐甲博之、佐藤進、中條達也、西村俊二、三明康郎、三浦大輔、宮本祐子、八木浩輔、横田幸郎、他
一般講演 Observation of Directed and Elliptic Flow at CERN-WA98 in 158 A GeV Pb + Pb Collisions (II)、西村俊二、絵野沢和彦、加藤純雄、倉田美月、栗田和好、佐甲博之、佐藤進、中條達也、三明康郎、三浦大輔、宮本祐子、八木浩輔、横田幸郎、他
一般講演 Measurement of Delta++ at CERN-WA98 in 158 A GeV Pb + Pb Collisions、佐藤進、絵野沢和彦、加藤純雄、倉田美月、栗田和好、佐甲博之、中條達也、西村俊二、三明康郎、三浦大輔、宮本祐子、八木浩輔、横田幸郎、他
一般講演 Measurement of phi -> K+K- in 158 A GeV Pb + Pb collisions from CERN-SPS-WA98 experiment、絵野沢和彦、加藤純雄、倉田美月、栗田和好、佐甲博之、佐藤進、中條達也、西村俊二、三明康郎、三浦大輔、宮本祐子、八木浩輔、横田幸郎、他
平成10年(‘98)秋の学会(秋田大学)
シンポジウム講演 Introduction, 三明康郎
一般講演 Beam Energy Dependence of the Transverse and Longitudinal Expansion in Au+Au Collisions at 2 - 11 A GeV (AGS-E866)、中條達也、林祥子、加藤純雄、熊谷荒太、三明康郎、佐甲博之、八木浩輔、他
一般講演 Observation of Azimuthally Anisotropic Flow of Kaons at CERN-SPS-WA98 in 158 A GeV Pb + Pb Collisions, 絵野澤和彦、加藤純雄、倉田美月、栗田和好、佐甲博之、佐藤進、中條達也、西村俊二、三明康郎、宮本祐子、八木浩輔、横田幸男、他
一般講演 Study of Delta ++ production at CERN-SPS-WA98 in 158 A GeV Pb + Pb Collisions, 佐藤進、絵野澤和彦、加藤純雄、倉田美月、栗田和好、佐甲博之、中條達也、西村俊二、三明康郎、宮本祐子、八木浩輔、横田幸男、他
平成10年3月JHF K Arena Workshop
研究会 AGS〜SPSの高エネルギー重イオン物理の総決算、三明康郎
本研究は筑波大学の大学院生を研究協力者として進め、大学院教育として多大な効果を上げることが出来た。修士論文13編、博士論文4編(予定を含む)を達成した。
修士論文
博士論文
[1] Time of flight techniques in high energy heavy ion experiments 27
[2] Relativistic Heavy-ion Collisions, Proving Quark-Gluon Plasma
in The Early Universe 39
[3] Photon and Neutral Meson Production in 158 A GeV Pb-208 + Pb
Collisions 50
[4] A Gas Cherenkov Beam Counter With Timing Resolution of 30 ps
For Relativistic Heavy Ion Experiments 63
[5] Search for Disoriented Chiral Condensates in 158 GeV/A Pb + Pb
Collisions 67
[6] First Evidence of Directed Flow at 158 A GeV Pb + Pb Collisions
in WA98 Experiment 78
[7] Hadron production in Au + Au Collisions at 4 A GeV
from AGS-E866 83
[8] Collective Flow at AGS and SPS 88
[9] Electromagnetic Signatures of QGP(Photons):
Experimental Status 96
[10] Search for Disoriented Chiral Condensates: An Experimental
Perspective 105
[11] Directed Flow Analysis in Pb+Pb Collisions at 158 GeV per
Nucleon 118
[12] Production of Neutral Mesons in 158 AGeV Heavy Ion Collisions
at the CERN SPS 130
[13] First Evidence of Directed Flow at CERN-SPS Energy from WA98
Experiment 134
[14] Performance of Multi-step avalanche Chambers Equipped with
Two-Diemsional Electronic Readout 139
[15] Fabrication and Test of a 70000 Channels Electronic Pad Readout
System for Multi-Step Avalanche Chambers 152
[16] Recent Results on Pb + Pb Collisions at 158 A GeV from the WA98
Experiment at CERN 165
[17] Present Status and Future of DCC Analysis 177
[18] Centrality and Collision System Dependence of Anti-proton
Production from p+A to Au+Au Collisions at AGS Energies 189
[19] Collective Flow in 158 A GeV Pb + Pb Collisions 193
[20] The PHENIX Experiment at RHIC 197
[21] Anti-Proton Production in Au + Au Collisions at 11.7 A GeV/c 202
[22] Centrality Dependence of Neutral Pion Production in 158 A GeV
Pb + Pb Collisions 207
[23] Collective Flow in 158AGeV Pb+Pb Collisions 212
[24] A Large-acceptance spectrometer for tracking in a high multiplicity
environment, based on space point measurements and high
resolution time-of-flight 222
[25] Directed Flow in 158 AGeV Pb+Pb collisions 240
[26] Elliptic Flow of Kaons and Pions in 158 AGeV Pb+Pb collisions 245
[27] The pion-nucleon coupling constant in QCD sum rules 250
[28] Phi meson in Nuclear Matter 267
[29] Light Vecor Mesons in Nuclear Matter 272
[30] UA(1) symmetry restoration in QCD with Nf flavors 292
[31] What thermodynamics tells us about the QCD plasma 295
[32] Tensor charge of the nucleon in lattice QCD 299
[33] Optimized Perturbation Theory for Wave Functions of Quantum
Systems 303
[34] Pade improvement of the free energy in high temperature QCD 307
[35] Soft modes associated with chiral transition at finite temperature 311