1)FoCal プロジェクトの正式承認、コラボレーション形成
FoCal のプロトタイプを作成し、性能評価実験を行い(2018 年)、FoCal 実験案(LoI)を策定した(中條、PEITZMANN、VAN LEEUWWN は 4 人の主著者中の 3 人、2019 年)。 LoI は ALICE と CERN で審議され、2020 年 6 月に CERN の国際委員会、LHCC において、FoCal は正式なアップグレード・プロジェクトとして承認されました。
さらに:
- グルノーブルLPSC研究所がFoCal に参加 (2018)。 PAD検出器データ読み出しに関する共同開発開始。
- Grenoble LPSC (共同研究者:Rachid Guernane, Olivier Bourrion, Damien Tourres)
- 理化学研究所(2020)、長崎総合科学大学(2021)、佐賀大学(2021)が新たにFoCalに参加。 日本のグループは7つの研究機関に拡大
- FoCal 日本グループ(7 機関):
筑波大学、筑波技術大学(稲葉基)、広島大学(杉立徹)、奈良女子大学(下村真弥、蜂谷崇)、理化学研究所(後藤雄二、清水志真、Minho Kim、Ralf Seidl)、長崎総合科学大学(大山健)、佐賀大学(房安貴弘)
- FoCal 日本グループ(7 機関):
- HGCROC ASIC を搭載した新プロトタイプ、CERN-PSテストビーム実験の成功 (2022年)
2)大型外部資金によるFoCal プロジェクト推進
2020年8月、科研費・基盤研究(S)「LHC 超前方光子測定によるグルーオン飽和とQGP生成起源」(2020-2024年度, 代表 中條) が採択されました。
科研費・基盤研究(S)
研究課題:LHC 超前方光子測定によるグルーオン飽和とQGP生成起源
期間: 2020-2024年度
研究代表者: 筑波大学 中條達也
研究経費: 194,740千円 (直接経費: 149,800千円、間接経費: 44,940千円)
我が国における学術研究課題の最前線
令和2 (2020)年度科学研究費助成事業・大型研究種目・新規採択課題一覧 – より
3)FoCal 検出器試作機の製作・テストビーム実験の成功
筑波大学およびFoCal 日本グループとユトレヒト大学、グルノーブル LPSCの共同研究者を中心に、我々はFoCal 検出器の研究開発を行なってきました。 日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S)(2020-2024)、基盤研究(A)(2017-2020)、基盤研究(B)(2013-2015)の助成金を最大限に活用し、FoCal-E PAD検出器の試作機を製作しました。第2試作機においては、APV25 hybrid および SRU読み出しシステムを用いて (2018), また第3試作機においては最終読み出し集積回路 HGCROC を用いて (2021- 2022)テストを行っています。 2018年のテストでは、PAD 検出器の現実のモジュールの大きさに近い “mini-FoCal” を構築し、CERN PS、SPS でテストし、150 GeV/c 陽電子ビームで 約4% のエネルギー分解能が得られ、シミュレーションの結果とほぼ一致しました。 この mini-FoCal は、2018 年に 13 TeV pp の衝突で ALICE 実験内で更にテストされ、明確な π0 中間子のピークが確認され、η = 3-5 における包括光子のエネルギー・スペクトルを測定しました。
- 第2試作機の成果
- 第3試作機の写真(2022年6月)
4)FoCal プロジェクトとALICE における主導権獲得
FoCalプロジェクトとALICE実験において、我々は以下の主要な役割を果たしています。
- 中條達也
- FoCal-E PAD 検出器代表、FoCal 日本グループ代表、ALICE 元ジェット物理部会共同代表 (2017-2020)、ALICE 元EMCal/ DCal プロジェクト副代表 (2013-2017)
- T. PEITZMANN
- FoCal 物理・シミュレーション代表、ALICE 元アップグレード・コーディネータ、ALICE 元 光子物理部会共同代表
- M. VAN LEEUWWN
- FoCal プロジェクト・コーディネータ、ALICE アップグレード・コーディネータ, ALICE 元物理部会長、ALICE 元ジェット物理部会共同代表、ALICE 次期実験代表 (2023-2025)
- N. NOVITZKY
- ソフトフォトン物理サブグループ・コーディネータ (2022-), FoCal テストビーム・コーディネータ
筑波大学・ユトレヒト大学 CiC 研究ユニットは、上記のFoCalとALICE内での主導的な役割を得て、FoCal プロジェクトと ALICE 実験を強力に推進すると同時に、同ユニットを世界トップクラスの教育研究拠点として発展させます。