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提案する改良案

陰極への付着を防ぎ、かつ付着物の影響を最小に留めることが現時点で考えられ る最善の策と思われる。そのためには、混合ガスの吸収波長領域と陰極の仕事関 数の間にギャップを作らないことが必要と考えられる。そのための方策として次 の提案がなされた[*]

仕事関数の高い陰極物質の使用;
混合ガスを使う目的は、カソードの仕 事関数より高い紫外光を吸収することである。図6.6 で示したように、混合ガスの光吸収係数とアルミニウムの仕事関数 には間隙領域が存在する。また、アルミニウムの仕事関数は4.2eV であるので、二重結合を持ち反応しやすいエチレン、イソプレンを 使う要があったのである。仕事関数の高い物質を陰極として用いる ことが出来れば、ポリマー化しやすい性質を持つエチレン、イソプ レンを排除できる。適当な物質を検討中であるが、窒化アルミニウ ム(仕事関数8.7eV)などが考えられる。
エチレン、イソプレン以外のガスの使用;
二重結合を持つガスを排除し たい。代替ガスとしてイソブタン、エチレンの代替にジメチルエチ ル(DME )を検討している。ジメチルエチルの吸収領域は、イソブ タンとエチレンの両方をカバーすることができるのかもしれない。

陰極への付着を減らす為にはGSI等で行われているようにガスの循環を速くす ることも良いが、陰極の温度をガスや容器よりも高く保つことで陰極への付着の 割合を減らすことも出来よう。

これらの方策を用いて、ポリマーの付着を無くすることが本研究の目指すべき次 のステップであると考えている。



平成13年5月2日