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光子生成

電子なだれが発展する際に数多くの光子が生成される。これらの光子は放電を飛 び火させる等の大きな影響を与える。模型1では、電子なだれ発展時の電子の電 離と同時に光子が1個生成されると仮定した。生成された光子は様々な方向に飛 び出し、多くは混合されたクエンチャー・ガスに吸収される。そこでまず、生成 してカソード方向に飛び出した光子のうち、クエンチャー・ガスによる吸収を逃 れて初期電子の生成位置まで到達した数を求めた。次にそれらを初期電子生成位 置からカソードまでは電場方向に飛ばして、カソードに到達した数を求めた。

図 4.11: 模型1における到達光子数の平均値。
\includegraphics[width=8cm,clip]{fig_4_11.eps}

4.11は初期電子位置からの電子なだれ発展距離に対する、光子の初 期電子位置まで到達数の平均値の変化を表す。電子なだれ発展距離の増加に伴い 生成される光子の量も指数関数的に増加するため、発展距離に対して到達光子数 は増加するが、飽和の傾向を見せる。これは、クエンチャー・ガスによる 吸収確率が飛距離に対して指数関数で増加するためであると考えられる。

模型2では、電離の際、電子エネルギー値が電離電圧と励起電圧を足した値より も大きい場合に、電子生成と同時に光子もひとつ生成されるとして計算した。模 型2の計算ではまず、電子なだれ中の生成光子数を求め、このうちカソード方向 に飛び出したものについて、一つ一つ方向を考慮しながらカソードまでの到達確 率を求めた。図4.12に、電子なだれ発展距離に対する生成された光子 数の平均値の変化を示す。横軸に発展距離、縦軸に生成された光子数の平均値を 取った。電子生成と同様に、電子なだれ発展距離に対して指数関数的な増加を示 すが、距離の小さいところでは指数関数からずれているように見える。指数関数 にのる部分をfittingした関数によると、 電子なだれが10$ \mu m$発展するまでに電子なだれ中で生成される光子数は、 $ 10^7$個程度と計算される。

図 4.12: 模型2における生成光子数
\includegraphics[width=8cm,clip]{fig_4_12.eps}



平成13年5月2日